2000 Fiscal Year Annual Research Report
二次元銅硼酸化物におけるスピンギャップと量子化された磁化のプラトーに関する研究
Project/Area Number |
11740188
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
陰山 洋 東京大学, 物性研究所, 助手 (40302640)
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Keywords | 磁性 / 低次元 / スピンギップ / フラストレーション / 磁化プラトー / 直交ダイマー / 厳密な基底状態 / 単結晶 |
Research Abstract |
SrCu_2(BO_3)_2においてスピン1/2をもつCuのダイマーが二次元面上で直交する特殊な構造に興味をもち磁気的性質を調べた.試料は当初は粉末試料を用いていたが工夫と試行錯誤を重ねた結果,cm単位の良質な大型単結晶育成に成功した.帯磁率の温度変化,比熱測定やESR測定などから結果,この物質がダイマー内相互作用Jとダイマー間相互作用J′の間に強いフラストレーションのある二次元スピンギャップ系であることを示した.J=100K,J′=68K,Δ=35Kと見積もられた.この物質が理論家ShastryとSutherlandによって約20年前に考察された"厳密な基底状態"をもつ模型とトポロジカルに等価であることがわかり多くの理論家と実験家の注目を集めた. 美しい基底状態だけではなく,励起状態にも面白い性質を見いだした.それが磁化曲線における量子化されたプラトーである.1.5K以下で45Tまでのパルス磁場磁化測定によって飽和磁化の1/3,1/4,1/8にあたる磁化のところにプラトーを観測した.これはダイマーの直交性によってトリプレット励起が局在した結果生じるものであることがわかった.また非弾性中性子散乱実験によってトリプレット一個の励起は著しく局在しているが二個以上の場合はトリプレット間の相関により動きやすくなるというこの系特有の不思議な磁気励起現象を新たに見いだした. 最近ではX線回折などの実験によって395Kで構造相転移が存在することが明らかにした.この転移温度以上ではもともと凸凹があったダイマー面が完全にフラットになる.この転移による磁性の影響などを現在検討しているところである.SrCu_2(BO_3)_2は基底一重項状態と反強磁性状態の量子臨界点近傍にあることが理論的に示唆されたためSrをCa,Baなどに置換して相互作用を変化させることを試みたが反強磁性相を誘起することまでには至っていない.
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[Publications] H.Kageyama: "Direct Evidence for the Localized Single-Triplet excitations and the Dispersive MultiTriplets Excitations in SrCu_2(BO_3)_2"Physical Review Letters. 84. 5876-5879 (2000)
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[Publications] H.Kageyama: "Low Temperature Specific Heat Study of SrCu_2(BO_3)_2 with an Exactly Solvable Ground State"J.Exp.and Theor.Phys.. 90. 129-132 (2000)
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[Publications] P.Lemmens: "Colkctive Singlet Excitations and Evolution of Raman Spectral Weights in the 2D Spin Diner Compound SrCu_2(BO_3)_2"Physical Review Letters. 85. 2605-2608 (2000)
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[Publications] K.Onizuka: "1/3 Magnetization Plateau in SrCu_2(BO_3)_2 -Stripe Order of Excited Triplets"J.Phys.Sov.Jpn. 69. 1016-1018 (2000)
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[Publications] H.Kageyama: "New Two-Dimensional Spin Gap Material SrCu_2(BO_3)_2"J.Phys.Soc.Jpn.Suppl.B. 69. 65-71 (2000)
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[Publications] 陰山洋: "厳密なダイマー基底状態をもつ新しい二次元銅酸化物"日本物理学会誌. 55. 786-790 (2000)