1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11760121
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
仲村 匡司 京都大学, 大学院・農学研究科, 講師 (10227936)
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Keywords | 木材 / 木目模様 / アイマークレコーダ / 視覚特性 / 心理的イメージ / パターンの数量化 / 心理的寿命 / 印象 |
Research Abstract |
環境問題および資源の有効利用の点から木製品の有利性を論じるとき,その炭素ストック性が強調される傾向にある.この主張は木製品が物理的寿命を全うすることを前提としており,使用者によって規定される心理的寿命と,生産者が設定した物理的寿命とが必ずしも一致しないことは考慮されていない.本研究は「木製品の心理的寿命の客観的評価の実現」を目指して,木製品の第一印象および記銘性に影響する諸因子を,心理応答および生理応答計測によって抽出することを目的とする. 1)我々は木目模様の何に目を惹きつけられるのか? このことを客観的に明らかにするために,アイマークレコーダを用いて木目模様の誘目性の解析を行った.縞模様である単純なまさ目模様では,観察者の視点は特にとどまることなく,狭い範囲内で上下左右に散る傾向にあった.一方,屋久スギの笹杢,ケヤキの玉杢,ハルニレの葡萄杢など複雑な木目模様では,屈曲点の頂点部分や円弧の周囲など,明暗コントラストが大きく形状を認識しやすい特徴点に視点が停留し,被験者による差も小さかった.視線の縦方向の停留位置のばらつき(標準偏差)で視線の停留パターンを数値化し,各木目模様の与える視覚的イメージとの対応関係を調査したところ,停留位置のばらつきが大きいほど「複雑な」イメージを与えやすいことがわかった. 2)印象に残りやすい木製品の手触りとは何か? このことを明らかにするための基礎資料を得るために,3次元スキャナを用いて熱的特性の似通った様々な特殊紙をスキャンし,表面凹凸が明暗で表現された2次元プロファイルを収録した。画像解析的手法によるプロファイルの周波数解析などをまず試みたが,「質感」と結びつけるためには,人の触感覚と結びついたプロファイルの数量加法を検討する必要がある.
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Research Products
(1 results)