1999 Fiscal Year Annual Research Report
北海道東部における畑作・酪農流域河川の水質水文的評価
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11760165
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
宗岡 寿美 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (50301974)
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Keywords | 畑作・酪農流域 / 農業的土地利用 / 水質保全 / 家畜ふん尿 / 窒素・リン / 降水の水質 / 水質浄化機能 |
Research Abstract |
本年度は、まず北海道における農業流域河川の水質保全問題に関する各分野の資料・文献等を徹底的に収集し,申請者によるこれまでの研究も含めた水質環境の現状について整理・総括した。さらに,十勝管内において畑作流域河川の水質水文調査を実施するとともに,調査事例の極めて少ない降水中の窒素とリンについても採取・分析を進めた。 畑作・酪農流域の現状としては,尿だめ・堆肥場周辺の状況が劣悪であることが示唆された。また,河川の水質濃度については流域の畑草地面積率や家畜の飼養頭数密度との間に正の相関関係が認められた。流域単位面積当たりの汚濁負荷源が同程度の場合には,自然河川や河畔の林野・湿地などが緩衝帯として浄化機能を発揮することも捕らえられた。これらの知見をもとに,平成12年度には十勝管内に設定した畑作流域において,流域の土地利用を活用した栄養塩類の流出抑制対策についてさらに検討を加える。たとえば,わずかに存在する水田を対象とした水質浄化の可能性についても検討したい。 また,帯広畜産大学構内において降水を採取し,雨と雪の中の窒素とリンについて分析している。現在,雪については採取・分析がおおむね終了しており,雪の中の全窒素濃度は無降水継続日数に比例し降水量に反比例するなど,有意義な知見が得られた。平成12年度も雨について採取・分析を継続する。そして,年間を通して窒素とリンの総負荷量を算出し、降水によるインプットを考慮した畑作・酪農流域河川の水質水文学的評価を行う。
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