1999 Fiscal Year Annual Research Report
ウシの子宮内細胞増殖因子およびレセプターの発現異常による着床不全に関する研究
Project/Area Number |
11760188
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片桐 成二 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (00292061)
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Keywords | 妊娠 / 繁殖障害 / 細胞増殖因子 |
Research Abstract |
ウシの子宮内膜における上皮成長因子(EGF)、インシュリン様増殖因子-I(IGF-I)、血管内皮増殖因子(VEGF)およびインターロイキン-1(IL-1)濃度とその遺伝子発現レベルの発情周期内推移を検討した。EGF濃度は、非妊娠牛では発情2〜3および13〜14日目にピークを持つ二峰性の変化を示し、妊娠牛では妊娠認識の重要な時期とされる発情後14日目以降も発育胚の存在する子宮角部位においてのみ高値で維持されることが分かった。これに対しVEGF、IGF-1およびIL-1の濃度推移には妊娠の有無による明らかな差はみられなかった。一方、EGFおよびIGF-1レセプター発現量は、その主要な調節因子であるエストラジオールの血中濃度と発情周期を通して高い相関を示すことが分かった。 子宮内膜バイオプシーによるリピートブリーダー牛と正常牛との比較試験では、正常牛の子宮内膜EGF濃度が2および14日目に高値、7日目に低値を示し、屠体材料により得られた推移と同様の傾向を示した。一方、大部分のリピートブリーダー牛では2、7および14日目のいずれにおいてもEGF濃度は低値を示すことが明らかとなった。また、正常牛のEGFレセプター濃度は屠体材料同様血中エストラジオール濃度と高い相関が得られたのに対し、発情後2および14日目の子宮内膜EGF濃度が低値を示したリピートブリーダー牛においてはEGFレセプター濃度と血中エストラジオール濃度との間には有意な相関が認められなかった。 子宮内膜細胞を用いた研究では、黄体機能促進因子と考えられているPGE_2と黄体退行因子とされるPGF_<2α>の産生量比(PGE_2/PGF_<2α>産生量比)調節におけるEGFの役割を中心に検討した。EGFはプロジェステロンに感作した子宮内膜間質細胞でPGE_2/PGF_<2α>産生量比を増加させ、黄体期に黄体機能促進因子として働くことが示唆された。
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