1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770237
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
柳澤 裕子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50230264)
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Keywords | methamphetamine / amphetamine / optical isomer / placental transfer |
Research Abstract |
近年、覚せい剤乱用者の女性に占める割合は増加傾向にあり、女性は妊娠するということを考えると、女性の覚せい剤乱用は次世代へ与える影響が極めて大きいという重大な問題を秘めている。我々は、ヒト妊産婦による覚せい剤乱用が胎児に与える影響を理解するための基礎実験として、覚せい剤の胎盤通過に着目し、覚せい剤の一種であるメタンフェタミン(MAMP)の母獣における代謝およびこれらの薬物の胎盤通過についてMAMPの光学異性体別に検討した。すなわち、妊娠後期の妊娠モルモットに光学活性の明らかなMAMPを各々20mg/kg接種し、0.5、4および8時間後の母体および胎仔の諸臓器内MAMPおよびその代謝産物であるアンフェタミン(AMP)およびp-ヒドロキシメタンフェタミン(p-OH-MAMP)濃度をGCおよびGC/MSを用いて分析した。 その結果、母体へ接種したMAMPは、接種0.5時間以内に未変化体のまま、またはその代謝産物であるAMPとなり、胎仔体内へ移行することが明らかになった。また、MAMPの光学活性の相違による胎仔内MAMPおよびAMPの経時的変化は異なっており、d-MAMP接種個体はMAMPおよびAMPともに接種0.5時間後に胎仔から検出されたのに対し、l-MAMP接種個体は接種0.5時間後では胎仔個体内でMAMPが若干検出された臓器もあったが、AMPはすべての臓器で検出限界以下であった。d-体は接種後血中でl-体に比べ遊離型の状態ものが多いため代謝を受けやすく、速やかに脱メチル化を受けAMPとなって胎仔側へ移行したことが示唆された。したがって、母体から胎仔へのMAMPの胎盤通過は、胎盤で選択が成されているというより母体での薬物の状態によることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yanagisawa,Y.,Yamamoto,H.,Nagai,T.: "A Study on the Placental Transfer of Stimulants: Concentrations of Stimulants in the Various Organs of Pregnant Guinea pigs and Their Fetuses"Japanese Journal of Forensic Toxicology. 18. 59-69 (2000)