2000 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝阻害に基づく薬物間相互作用の定量的予測-阻害様式を考慮した予測方法の確立をめざして-
Project/Area Number |
11771501
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 清美 北里大学, 薬学部, 講師 (60232435)
|
Keywords | 薬物間相互作用 / 代謝阻害 / in vitro / in vivo / mechanism-based inhibition / マクロライド系抗生物質 / ミダゾラム |
Research Abstract |
CYP3A4により代謝されるミダゾラムの経口投与後の血中濃度は、臨床において、エリスロマイシン(EM)およびクラリスロマイシン(CAM)の併用では大きく上昇するのに対し、アジスロマイシン(AZM)の併用では、相互作用の程度は非常に小さいことが報告されている。マクロライド系抗生物質によるCYP3A4の阻害機構は、阻害剤の代謝物が酵素と共有結合し不可逆的な阻害を起こす、いわゆるmechanism-based inhibitionである。そこで本研究では、阻害様式を考慮したモデルによりin vitro試験からin vivo薬物間相互作用を定量的に予測する方法論について検討した。 NADPH存在下ヒト肝ミクロソームを、種々の濃度のEM、CAMあるいはAZMと共に37℃でプレインキュベーションした後、ミダゾラムを添加し、3分間インキュベーションを行った。生成したミダゾラムのα位および4位水酸化代謝物をHPLCにより定量し、酵素不活化に関する速度論パラメータを求めた。マクロライド系抗生物質濃度および酵素とのプレインキュベーション時間に依存して、ミダゾラムのα位および4位水酸化反応は同程度に阻害され、阻害の程度はEM、CAMに比べてAZMでは非常に小さかった。 得られたパラメータと、マクロライド系抗生物質とミダゾラムの体内動態パラメータの報告値を生理学的薬物速度論モデルに代入し、in vivo相互作用のシミュレーションを行った結果、ミダゾラムのAUCはEM(500mgt.i.d.5days)の併用により約3.7倍、CAM(250mg b.i.d.5days)の併用では約2.3倍上昇するのに対し、AZM(500mgo.d.3days)の併用ではほとんど変化がないことが予測され、臨床の報告とほぼ一致した。以上の結果から、マクロライド系抗生物質において、この方法論の妥当性が示唆された。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] S.Kanamitsu: "Quantitative prediction of in vivo drug-drug interactions from in vitro data : Effects of active transport of inhibitors into the liver."Altern.Animal Test.EXperiment.. 7(1). 23-29 (2000)
-
[Publications] I.Kawahara: "Selective inhibition of human cytochrome P450 3A4 by N-[2(R)-hydroxy-1(S)-indanyl]-5-[2(S)-(1,1-dimethylethylaminocarbonyl)-4-[(furo[2,3-b]pyridin-5-yl)methyl]piperazin-1-yl]-4(S)-hydroxy-2(R)-phenylmethylpentanamide and P-glycoprotein by valspodar in gene transfectant systems."Drug Metab.Dispos.. 28(10). 1238-1243 (2000)
-
[Publications] 杉山雄一: "肝臓での代謝および輸送における薬物間相互作用の定量的予測"薬物動態. 15(3). 235-243 (2000)
-
[Publications] 伊藤清美: "CYP と Mechanism-based inactivation(キネティックモデル)"月刊薬事. 43(3). 502-506 (2001)
-
[Publications] 伊藤清美: "消化管吸収におけるCYP3A4とP-糖蛋白質の定量的寄与率とキネティックモデル"月刊薬事. 43(3). 596-601 (2001)