1999 Fiscal Year Annual Research Report
行政機関における化学物質の人体毒性評価に関する日欧米比較
Project/Area Number |
11780001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 貴子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (40252803)
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Keywords | 農薬 / 人体毒性評価 / レギュラトリー・サイエンス |
Research Abstract |
1、一日許容摂取量概念の発展過程とその行政的対応に関する日欧米比較 一日許容摂取量とういう概念は1960年代からOECD諸国の農薬や食品添加物の規制行政で幅広く用いられるようになり今日に至っている。その発端は、定説によれば、1954年にアメリカでおきた食品中毒事件(ハロウィン・キャンディ事件)が契機となってアメリカのFDA(食品医薬品省)の化学者が1956年に提案したものである。その後、特に欧米の毒性学者を中心に設定方式の精緻化がおこなわれた。そうした動きは「ガン制覇」を掲げた1980年代のアメリカEPA(環境保護庁)の発ガン物質規制行政と最も密接に連動しており、日欧の行政対応はむしろ米に追随する形で進展した。しかし、いわゆる環境ホルモン問題が社会的にも注目されるようになった1997年以降、従来の一日許容摂取量概念の科学的有効性に対する根本的疑問が以前にも増して大きく浮かび上がっている。とはいえ、有効な新概念が実際の規制行政で用いられているケースはまだ存在しない。 2、フェニトロチオンの一日許容摂取量の設定過程に関する日米比較 フェニトロチオンの一日許容摂取量の根拠となった科学的知見(毒性情報)の面で、日米の顕著な差異は認められないが、一日許容摂取量の決定に至るプロセスに関する情報(毒性評価および評価者に関する情報)については顕著な差異がある。すなわち、日米ではレギュラトリーサイエンスのあり方が決定的に異なる。公開アドバーサリー型のアメリカに対し非公開合議制の日本という一次近似が可能である。 3、今後の計画 日本型レギュラトリーサイエンスのコンセプトメイキング
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