1999 Fiscal Year Annual Research Report
赤外線による発光生物のゆらぎ計測システムの構築と癒し効果の検証に関する研究
Project/Area Number |
11780109
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
稲垣 照美 茨城大学, 工学部, 助教授 (90184712)
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Keywords | ホタル / ゆらぎ / 癒し / 光画像処理 / 赤外線 / スペクトル解析 |
Research Abstract |
平成11年度の研究課題では、夏期(6-8月期)においてホタル(東日本型ゲンジボタル及びへイケボタル)のフィールド計測を茨城県北部山間部及び東京都板橋区エコポリスセンター付属ホタル飼育施設内において実施した。なお、これに先立ち5-7月期には、ホタル発光パターンを解析するための専用画像処理・解析システムを予め構築して、来るべきデータ処理及び解析に備えた。 まず、第一に本研究課題では、一連のホタル発光パターンをコンピューターに取り込み、FFT処理を施し、様々な生態的条件下におけるパワースペクトル、自己相関関数及び相互相関関数などの統計量を算出することで、ホタルの発光パターンに特有なかつ癒し効果にも関連する現象を抽出することに成功した。すなわち、いずれのホタルの発光パターンにも人の心臓の鼓動に代表されるような1/fあるいは1/f^2ゆらぎなどの特徴的な現象が存在することを見出すことが出来た。このことは、発光輝度の時系列な変動以外にも発光間隔の変動においても観察することができた。また、ホタルから抽出した発光信号を電気信号に変換して、緑色発光ダイオード(波長900nm)にてその発光パターンを忠実に再現することにも成功した。この人工ホタルについて幾人かの専門家に意見を求めた所、本物に比較して全く遜色無いことを確認することができた。以上の成果は、平成12年度中に開催される日本機械学会バイオエンジニアリング部門あるいは応用物理学会などにおいて公表する予定である。 これらの事実は、平成12年度以降の研究を継続する上で極めて貴重な動機付けとなり得、ホスピスにおける癒し空間(あるいはファンタジー空間)創造及び小中高生向け理科学教材開発に向けて合理的な筋道を付けることができた。さらに、データ収集を進めて統計的な裏付けを確立するとともに、発光パターンが東日本型のものとは異なるとされている西日本型ホタルに関するデータベースをも構築して、生物の一種であるホタルについてより工学的な観点から人類の利益とならしめるべく今後研究を進めて行く予定である。
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