1999 Fiscal Year Annual Research Report
神経終末内カルシウムと開口放出の同時測定による海馬苔状線維シナプス可塑性の解析
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11780591
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
神谷 温之 群馬大学, 医学部, 講師 (10194979)
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Keywords | シナプス伝達 / 可塑性 / 海馬 |
Research Abstract |
海馬CA3野苔状線維シナプスにおける長期増強(Long-term potentiation;LTP)は、シナプス後細胞でのNMDA受容体活性化を必要とせず、シナプス前部でのアデニル酸シクラーゼ活性化により苔状線維終末内のサイクリックAMP濃度が上昇し、サイクリックAMP依存性リン酸化酵素による何らかの基質タンパクのリン酸化により伝達物質放出量の持続的増加を引き起こすとの仮説が想定されている。本研究では、サイクリックAMP増加が苔状線維終末からの伝達物質放出に関わるどの素過程を修飾するかを調べる目的で、シナプス前部へのカルシウム流入および微小EPSC(興奮性シナプス後電流)に対するアデニル酸シクラーゼ活性化剤であるフォルスコリン投与の効果を検討した。マウス海馬スライス標本において入力線維層に局所的に注入した細胞膜透過型蛍光カルシウム指示薬(rhod 2-AM)が軸索内に取り込まれシナプス前終末まで輸送されることを利用してCA3野苔状線維シナプスのシナプス前部だけに選択的に蛍光カルシウム指示薬を負荷し、シナプス前部での細胞内カルシウム濃度および興奮性シナプス後電位(EPSP)を同時測定した。フォルスコリン(50μM)投与によりEPSP振幅は約5倍に増大し、シナプス前部へのカルシウム流入を反映する蛍光シグナルは約1.2倍に増強された。また、微小EPSCの平均頻度は約2倍に増加したが、平均振幅には変化がみられなかった。これらの結果から、フォルスコリンは活動電位に伴うシナプス前終末へのカルシウム流入およびカルシウム依存性開口放出機構の両者を増強し、苔状シナプス伝達をシナプス前性に促進すると考えられた。現在、高頻度刺激により誘発されるLTPに伴いどの素過程が修飾されるかについて同様の手法により検討中である。
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[Publications] H.Kamiya: "Kainate receptor-mediated presynaptic inhibition at the mouse hippocampal mossy fibre synapse"Journal of Physiology. 523・3. 653-665 (2000)
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[Publications] H.Kamiya: "Dual mechanism for presynaptic modulation by metabotropic glutamate receptor at the mouse mossy fibre-CA3 synapse"Journal of Physiology. 518・2. 497-506 (1999)
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[Publications] H.Kamiya: "Slow synaptic responses and modulation."K.Kuba,H.Higashida,D.A.Brown & T.Yoshioka. 4 (1999)