1999 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷地未利用バイオマスを用いたバイオマス変換産業の構築
Project/Area Number |
11793013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐野 嘉拓 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10001463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 昌祥 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50091476)
浦木 康光 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90193961)
篠原 邦夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60001294)
久保 智史 北海道大学, 大学院・農学研究科, 学振研究員
岸本 崇生 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (60312394)
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Keywords | シラカバ / バイオマス変換産業 / 常圧酢酸成分分離プロセス / 製紙・溶解・糖化用パルプ / 酢酸リグニン / 単糖類 / ベチュリン / スベリン |
Research Abstract |
寒冷地早生樹で未活用資源であるシラカバを主要原料とするゼロエミッション型バイオマス変換産業を新たな地域産業として振興する基礎的研究を行った。 シラカバ外樹皮から簡便な操作でベチュリンを大量に単離・精製する方法を検討した。その結果、(1)外樹皮の細片を酢酸を用いて減圧下で環流抽出する、(2)酢酸を回収し、残滓に少量の水を加え、粗抽出物を分離した、(3)抽出物をケン化し、ケン化物を凍結乾燥し、アルコールから再結晶することによりベチュリンが外樹皮の約25%の収率で得られた。外樹皮の抽出残滓は主にスベリンであるが、スベリンの加水分解物の化学構造を検索し、その構造特性を明らかにし、スベリンの有効利用に関する基礎的知見を得た。 木部から作成したチップから、先ず、小型抽出器を用いた硫酸触媒を含む90%酢酸水または塩酸触媒を含む95%酢酸水で環流する常圧酢酸成分分離法によりパルプ(セルロース)を調整した。反応液(パルプ廃液)から酢酸を回収し、残留物にパルプの水洗浄液を加えることにより、単糖類(ヘミセルロース由来)を含む水可溶部と酢酸リグニンに分離した。分別・分離した各成分の性状を詳細に分析し、成分分離条件を設定した。その結果、パルプは製紙用パルプ、溶解用セルロースおよび糖化原料に有効利用できることが明らかになった。また、糖類には木部の15〜20%の単糖類が存在し、有効利用できることが明らかになった。酢酸リグニンの化学構造および理化学性質を精査し、有効な用途に変換する基礎的知見を取得した。 これらの結果に基づき、75-100L容大型抽出装置を作成し、外樹皮から大量のベチュリンとスベリン、木部からパルプ、糖類および酢酸リグニンを大量に分離し、酢酸を回収する一連のプロセスを検討した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Pan Xue-Jun: "Atomospheric Acetic Acid Pulping of Rice Straw II"Holzforshung. 53. 49-55 (1999)
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[Publications] 佐野嘉拓: "自然と調和する次世代の木材化学産業(上)"ウッディエイジ. 48・1. 2A-7A (1999)
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[Publications] 佐野嘉拓: "自然と調和する次世代の木材化学産業(下)"ウッディエイジ. 48・2. 1A-6A (1999)
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[Publications] Pan X.-J: "Atomospheric Acetic Acid Pulping of Rice Straw IV"Holzforshung. 53. 511-518 (1999)
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[Publications] Pan X.-J: "Acetic acid pulping of wheat straw under atmospheric pressure"J. Wood Sci.. 45・4. 319-326 (1999)
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[Publications] Pan X.-J.: "Atomoshperic Acetic Acid Pulping of Rice Straw IV"Holzforshung. 53. 590-596 (1999)