1999 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達機構に及ぼす磁界の影響と磁界の生体応用への有効性と危険性の解析
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11834009
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
池原 敏孝 徳島大学, 医学部, 講師 (40111033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
會沢 勝夫 東京医科大学, 医学部, 教授 (40074645)
木内 陽介 徳島大学, 工学部, 教授 (80035807)
山口 久雄 徳島大学, 医学部, 助教授 (90035436)
芳地 一 徳島大学, 医学部・附属病院, 助教授 (00219156)
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Keywords | クロマフィン細胞 / 細胞内Ca^<2+> / PC12細胞 / 小胞体 / 変動磁界 / イノシトール3リン酸 / 神経伝達物質 / FT-IRスペクトル |
Research Abstract |
牛副腎髄質細胞およびラット褐色細胞腫由来PC12細胞を用いて下記の結果をえた。 1.初期培養した副腎髄質細胞にブラディキニン(BK)を添加すると、細胞内小胞体よりCa^<2+>が放出され、細胞内Ca^<2+>濃度が一過性に増加した。この増加は最大1.7及び1.5Tの変動磁界に2時間曝すと、この増加が完全に抑制され、さらにBK濃度を増加させても回復しなかった。 2.BK添加によりイノシトール3リン酸(IP_3)の生成が増加するが、この生成は磁界曝露により影響を全く受けなかった。しかし、膜透過性増大試薬を前処理した同細胞にIP3を投与すると著しく細胞内Ca^<2+>濃度が増加した。しかし、磁界曝露はこの増加を有意に抑制した。 3.カフェインを両細胞に添加すると、いずれもBK添加時と同様に一過性の細胞内Ca^<2+>濃度が増加がみられたが、磁界の曝露により完全に増加が抑制された。 4.膜透過性を増大させたPC12細胞にcyclic ADP-ribose(cADPR)を添加すると、IP_3添加時と同様に著しく細胞内Ca^<2+>濃度が増加したが、磁界曝露により部分的に阻害された。 5.この部分的な磁界による阻害は、小胞体のレセプターを介さずに細胞内Ca^<2+>増加を引き起こすイオノマイシンやタプシガルギン等の試薬投与時にも生じた。 6.また赤外分光法を用いて、磁界曝露により細胞膜蛋白質の構造や膜表面の電気的性質の変化を示唆するデータをえた。 以上の結果より、細胞径や細胞膜の電気的性質から考えると、変動磁界曝露によって細胞外に誘導される電流が細胞膜に影響を及ぼし、さらになんらかの機構を介して細胞内小胞体に影響を及ぼすものと考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Park,Ki Ho,Ikehara,T.et al.: "Effects of time-varying strong magnetic field on K^+ uptake through Ca^<2+>-dependent K^+ channel."Elect.Magnet.Biol.Med.. 585-588 (1999)
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[Publications] 樫本英樹、池原敏孝他: "副腎髄質細胞由来クロマフィン細胞の細胞内カルシウムイオン増加に及ぼす変動磁界の影響"信学技法. 99(178). 55-60 (1999)
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[Publications] Umeda,T.,Ikehara,T.et l.: "Stimulatory effect of enkephalins on calcium efflux from bovine adrenal chromaffin cells in culture."Life Sciences. 65(21). PL247-252 (1999)
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[Publications] 朴 基豪、池原敏孝他: "副腎髄質クロマフィン細胞のアセチルコリンによる細胞内カルシウムイオン増加に及ぼす変動強磁界の影響"日本磁気歯科学会雑誌. 8(1). 35-40 (1999)
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[Publications] 福井康広、池原敏孝他: "ELF磁界による歯根膜誘導電流の解析ー歯槽骨再生の基礎ー、"日本磁気歯科学会雑誌. 8(1). 41-47 (1999)
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[Publications] Ikehara,T.,Park,K.H.et al: "Effects on Rb^+(K^+)uptake of HeLa cells in a high K^+ medium of exposure to a switched 1.7 Tesla magnetic field."Bioelectromagnetics. 21(in press).
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[Publications] 池原敏孝、山口久雄、會沢勝夫: "実用分光法シリーズIV-分光学の医学応用"アイピーシー. 321 (1999)