2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリンコファクターIIの抗動脈硬化因子としての役割とその臨床的意義
Project/Area Number |
11838011
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Research Institution | University of Tokushima |
Principal Investigator |
東 博之 徳島大学, 医学部, 助教授 (10241275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三ッ井 貴夫 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (80294726)
松本 俊夫 徳島大学, 医学部, 教授 (20157374)
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Keywords | ヘパリンコファクターII / 動脈硬化 / トロンビン / 血管平滑筋 / デルマタン硫酸 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
甲状腺機能低下症は動脈硬化性病変の合併が多いことが知られている。この原因としてコレステロールの増加が報告されているが、甲状腺ホルモンが正常にコントロールされているにもかかわらず動脈硬化症を発症する症例もある。したがって、コレステロール以外の危険因子の存在も考えられる。そこで、まず甲状腺機能亢進症患者の治療による血中HC II濃度の変化を解析した結果、治療により甲状腺機能が正常化することにより血中HC II濃度も有意に低下することを見出した。この結果は、甲状腺機能低下症の患者では血中HC II濃度が低下し血管壁局所でのトロンビン不活化能が低下する可能性を示している。 また、PTCA施行6か月後に冠動脈造影を施行した79症例について再狭窄の有無を解析した。その結果、バルーンにみによる冠拡張術(POBA群)を受けた症例は36例であり、血中HC II活性が110%以上は11例でこのうち再狭窄は4例(36.4%)に認め、HC II活性が110%未満は25例でこのうち8例(32.0%)に認めた。一方ステント留置による冠拡張術(ステント群)を受けた症例は43例であり、HC II活性が110%以上は10例でこのうち再狭窄は0例(0%)であったが、HC II活性が110%未満は33例でこのうち10例(30.3%)に認めた。このように、血中HC II活性が110%以上でありステント治療を受けた患者では有意(p<0.05)に再狭窄が少ないことを明らかにしている。現在さらに症例を増やし解析を進めている。 また、HCIIノックアウトマウスの作製に関しては、現在マウスゲノムDNAのクローニングを終え、ターゲティングベクターの作製を行っている。
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Research Products
(1 results)