2000 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱物質の性腺及び中枢の発育・分化に対する影響に関する研究
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11839004
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 元 東京農工大学, 農学部, 助教授 (90158626)
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Keywords | 内分泌かく乱物質 / オフチルフェノール / エストロジェン / LHRH / 性分化 / インヒビン |
Research Abstract |
本年度は主として中枢の性分化に関する以下の研究を行った。 (1)視床下部-下垂体-性腺軸における雄性機能の正常な発現には、新生子期のLHRHが重要な役割を果たしている。内分泌かく乱物質の多くはエストロジェン用作用を有し、LHRH分泌を抑制することから、本研究ではLHRHの分泌を抗血清で免疫学的に中和するモデルを用いて、新生時期の内分泌かく乱物質の暴露が雄ラットの生殖能力に与えると予想される変化について解析した。 その結果、出生後6日間LHRH抗血清を投与した雄ラットでは、成熟後精巣に精子形成は正常と判断されたが、成熟雌に対して交尾行動をほとんど示さず、射精に至らなかった。視床下部の内側視索前野にの存在する性的二型核の断面積を比較したところ、抗血清投与群では雄より小さい、雌に近い傾向を示した。以上のことから、中枢の性分化期に、LHRHの分泌が抑制された場合は、成熟後の生殖能力に重大な欠陥をもたらす危険性が示された。 (2)新生時期の中枢の性分化時期の雌に、エストロジェン作用を有する内分泌かく乱物質としてオクチルフェーノールを投与した。成熟後、中枢の周期性を調べるため、卵巣を除去しエストラジオールを投与して、LHサージの出現を検討したところ、実験群ではLHサージが欠如していた。次に、雌の交尾行動を調べるために正常な雄ラットと同居したところ、雌の交尾行動の発現頻度および強度は正常に比べ有意に低値であった。視床下部の内側視索前野にの存在する性的二型核の断面積を比較したところ、オクチルフェノール投与群では雌より大きく、雄に近い傾向を示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shin-ichi Katsuda: "Dose-and treatment duration-related effects of P-tert-octylphenol on female rats"Reproductive Toxicology. 14. 119-126 (2000)
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[Publications] Chandana B.Herath: "Exposure of neonatal female rats to P-tert-octylphenol disrupts afternoon surges of luteinizing hormone, follide-stimulating hormone..."Biology of Reproduction. 64. 1216-1224 (2001)
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[Publications] Akiko Takenaka: "Sexual dysfunction induced by neonatal administration of anti-LHRH serum in male rats."International Journal of Urology. 7suppl.. S61 (2000)