1999 Fiscal Year Annual Research Report
現代イギリスにおける「学校から職業への移行」に対する職業教育・訓練政策の影響
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11871042
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Research Institution | Osaka Seikei College |
Principal Investigator |
佐野 正彦 大阪成蹊女子短期大学, 児童教育学科, 教授 (00202101)
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Keywords | 労働市場 / 学校から職業への移行 / 職業教育 / イギリス / 職業訓練 / 後期中等教育 / 継続教育 |
Research Abstract |
今年度は、1980年代以降のイギリスにおける「学校から職業への移行」プロセスの変化とその背景について明らかにした。少なくとも1970年代までの「学校から職業への移行」の一般的なパターンは、義務教育修了後、直ちにフルタイムの雇用に参入するというものであった。しかし、1980年代以降、義務教育終了後、多様な教育機会、訓練計画、パートタイムないしはフルタイムの雇用、失業という様々な機会を選択・移動・迂回しながら最終的な職業への参入を果たすという、「学校から職業への移行」の長期化と多様化という急激な変化がおこった。こうした変化の最大の契機は、1980年前後の経済停滞による若者の失業問題の深刻化である。義務教育修了後にフルタイムの職業を得ることのできなくなった若者は、当初、政府の提供するYTSなどの職業訓練計画やパートタイムの雇用などに滞留し、必ずしも進学という志向を持たなかった。しかしイギリスの経済回復が80年代後半に訪れるとともに、フルタイムの教育への進学率の急上昇が始まる。注目すべきは、彼らの進学目的が、ただ単に大学への進学準備のためのGCE-A・ASレベルの資格をめざす、アカデミックな方向での学歴志向だけでなく、同時並行的に、NVQやGNVQといった職業資格を目指す職業主義的な志向をも急上昇させているという点である。イギリスでも、経済の高度化が、「学校から労働への移行」に際して、学力や学歴といったアカデミックな基準を重視させるという傾向は否定できない。しかし、我が国と大きく異なる点は、進学志向を抑制し、職業をめぐる競争を多元的に分散させるものとして機能してきた、横断的な職種別労働市場の基本的な構造の存続(同時に経済の変動と政策の介入によってこの労働市場の構造自身が大きく変動している)が、若者の「学校から職業への移行」のあり方を大きく規定しているということである。
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