1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11874086
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高田 十志和 大阪府立大学, 工学部, 教授 (40179445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 伸浩 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (30214852)
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Keywords | ロタキサン / 不斉反応場 / 光学活性クラウンエーテル / メタクリル酸エステル / ジアステレオ面選択的ラジカル付加 / 水素結合 / 中和-アシル化 / ニコチン酸アミド |
Research Abstract |
ロタキサンがコンポーネントを効果的に空間的に配置するという特徴に基づき、本研究はキラルなコンポーネントを含むロタキサンを用いることで、酵素に見られるような不斉反応場を構築することを目的に行った。ロタキサンとしては、クラウンエーテルと二級アンモニウム塩との相互作用を利用した系を用い、不斉クラウンエーテルが作る不斉場中で、プロキラルな軸上への不斉誘導、不斉触媒反応場の構築について検討した。不斉クラウンエーテルとして、ビナフトールを基本構造とし、ロタキサン合成に適した新規28員環クラウンエーテルを設計し、光学活性ビナフトールから直接環化法を用いて合成した。メタクリル酸エステル構造を末端に持つ二級アンモニウム塩がこのクラウンエーテルと擬ロタキサンを形成することを各種分光学的手法で確認した。ここに-50℃で嵩高いチオールをラジカル付加させたところ、光学活性ロタキサンが収率12%で得られた。得られたロタキサンを水素化アルミニウムリチウムで還元的に開裂し、得られたアルコールの光学純度を測定したところ6%e.e.であり、ロタキサンが不斉場として働きうることが確認された。これは、ロタキサン上で不斉反応を行なった始めての例である。不斉ロタキサン触媒へ展開するために、ロタキサンのアンモニウム塩部位の中和とアシル化による触媒活性官能基の導入を検討した。しかし、ロタキサン中のアンモニウム塩は強い分子内水素結合のため、通常の条件では中和することはできなかった。しかし、過剰の塩基存在下で過剰のアシル化剤を作用させたところ、平衡が移動し、定量的にアシル化されることが明らかとなった。そこで、アシル化剤にニコチン酸クロリドを用いて反応を行なったところ、酸化還元能を持つニコチン酸アミド構造が導入されたロタキサンを定量的に得ることができた。この反応を利用し、不斉酸化還元反応場の構築を検討している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T. Takata: "Radically Polymerizable Pseudorotaxane Monomers: Versatile Building Units for Side Chain Polyrotaxane Synthesis"Chem. Lett.. (2). 111-112 (1999)
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[Publications] T. Takata: "Conjugate Addition-Approach to End-Capping of Pseudorotaxanes for Rotaxane Synthesis"Chem. Lett.. (3). 223-224 (1999)
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[Publications] N. Watanabe: "Synthesis and Structure of [2]Catenated Tertiary Octamide and Octamine"Chem. Lett.. (9). 915-916 (1999)
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[Publications] H. Kawasaki: "High Yielding and Practical Synthesis of Rotaxanes by Acylative End-Capping Catalyzed by Tributylphosphine"Chem. Lett.. (10). 1015-1016 (1999)
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[Publications] Y. Furusho: ""Unlock-Lock" Approach to [2] and [3] Rotaxanes: Entering of a Ring through Disulfide Linkage That is Unlocked by Thiol "Key""Chem. Lett.. (1). 18-19 (2000)