1999 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の持つ優れた分子選択能力を活用したバイオセンサー型クロマトグラフィの開発
Project/Area Number |
11875063
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 勉 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50136214)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 守 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (70237949)
|
Keywords | マイクロセンサ / 細胞センサ / キャピラリー電気泳動 / 蛍光 / 局所環境モニタリング |
Research Abstract |
細胞の環境関知能力を利用し、工学的手法によってその情報を収集・処理する生物マイクロセンサーの開発を目的としている。センサー細胞として、直径5ミクロンの酵母菌を使用した。この細胞をミトコンドリア膜電位の蛍光指示薬であるローダミン123、および細胞内カルシウムイオン蛍光指示薬であるFluo-3で染色する。次に細胞を内径25ミクロンのガラスチューブ(キャピラリー)内壁に付着させる。キャピラリー内にリン酸バッファを注入し、さらに、キャピラリーの両端をバッファ液槽に浸して約7kVの直流電圧を印加すると、キャピラリー内をイオンが泳動する(キャピラリー電気泳動)。そこで一方のバッファ槽に環境汚染物質を混入させると、汚染物質は泳動によってキャピラリー内を移動し、細胞の環境を変化させる。細胞はその変化に応じてミトコンドリア膜電位を変化させたり、カルシウムを放出するので、蛍光が変化する。したがって細胞の蛍光をモニターすることによって細胞の環境変化を知ることができる。以上のコンセプトに基づいて、キャピラリー電気泳動装置を構築し、また細胞の蛍光をモニターする顕微蛍光観察装置を新たに製作した。この装置によって、蛍光の変化を観測した。その結果、水銀イオンを混入した場合、ローダミン蛍光強度は低下し、Flou-3蛍光強度は上昇した。またアセチルコリンを混入すればFluo-3蛍光は大きく上昇した。これらのことから、細胞をセンサーチップとした、あたらしい電気泳動システムの実現が可能であることの確信を得た。
|