1999 Fiscal Year Annual Research Report
不確実性下での土地関連権利の価格づけと都市空間利用パターンに関する研究
Project/Area Number |
11875110
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
赤松 隆 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (90262964)
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Keywords | 不確実性 / 土地 / 都市空間 / 最適意志決定 / オプション理論 / 確率的制御 |
Research Abstract |
本年度の研究では,主に,本研究に関連する多岐にわたる研究の(問題点整理を含む)包括的レビューを行った.対象とした研究は,様々な分野において独立に研究されていた各種オプション理論である.その多様な理論は,対象・分野でくくれば,(1)Financial Option理論(eg.Black-Sholes-Merton),(2)Real Option理論(eg.Brennan-Schwartz,Pindyck-Dixit),(3)Quasi-option理論(eg.Arrow-Fisher-Henry)に分類される.(1)は市場化された金融資産に対するオプションの理論である.これは,基本的にはAPT理論とマルチンゲール理論に基づいた価格評価・リスク制御理論であるが,不確実性下での動的投資消費理論,ICAPM理論,IGE理論と密接にリンクしている.(2)は実物資産/プロジェクト投資の最適意志決定に関する理論であり,近年,マクロ/資源/環境/農業経済学等の分野で,研究の蓄積が著しい.さらに,不動産開発の評価に対する従来の研究(都市・地域経済学分野)は全てこの理論の応用である.この理論の基本モデルは,(1)におけるAmerican Optionと同様,最適停止問題の数学的枠組に基づいている.(3)は厚生経済学の分野で費用便益分析・プロジェクト評価と関連して研究が蓄積されてきたが,(2)と重なる部分も多い.従来の研究の整理の結果,土地関連権利の実際的な解析に対しては,以下の課題の解決が不可欠であることが明らかとなった:(1)理論(2)は不完備市場における不確実性要因を無視;(2)理論(3)は完備市場における不確実性要因の評価が無裁定市場条件と不整合;(3)複数のエージェント間での戦略的意志決定・均衡条件が考慮されていない;(4)複数の関連する離散・連続的意志決定変数が同時的に導入されていない.
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