1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11875215
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Research Institution | Heian Jogakuin (St. Agnes') College |
Principal Investigator |
伊藤 啓 平安女学院短期大学, 生活学科, 教授 (20213077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 茂芳 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90273911)
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Keywords | 蜘蛛の糸 / 絹フィブロイン / 可溶化 / 溶解機構 / 水系溶媒 / 常温溶解 |
Research Abstract |
絹フィブロインの主たる用途は言うまでもなく絹繊維製品への利用であるが、最近では絹の食品化を手初めに化粧品添加剤、保湿剤などへの応用も始まっている。絹フィブロインの用途をさらに繊維バインダーや成型材料などにも応用するためにはその効率的可溶化技術の確立が不可欠の課題となる。蜘蛛は古くなった糸を口に含み、食後30分には新しい糸として吐出している。これは極めて短時間の操作であり、糸をアミノ酸にまで分解して再合成しているとは考えにくく、高分子量のまま常温の水系で効率的に可溶化して再紡糸していると思われる。このリサイクル過程での蜘蛛の糸の可溶化機構を明らかにし、さらにこの成果を応用して絹フィブロインの常温水系での効率的可溶化を実現することを目的として以下の研究を行っている。(1)古くなった蜘蛛の巣をどの程度効率的に再利用(リサイクル)しているのかを実態観測により調査中である(肉眼及びビデオカメラ観察)。(2)蜘蛛が糸を吐出してからの経時変化を、力学特性(引張り試験、動的粘弾性試験)、紫外線劣化(ESR測定)、粘着性能(剥離試験)、複屈折(偏光顕微鏡)などについて測定し、これらの測定値間の相関を評価する。(3)蜘蛛の唾液成分の採取と化学成分分析を試みている。本研究課題の採択は11月であったので研究開始以降間が無く、実験の準備ないし開始の時期で顕著な成果はまだないが、次年度以降の努力で回復したいと考えている。
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