1999 Fiscal Year Annual Research Report
林野火災時の風向・風速 推定法の開発と延焼拡大予測
Project/Area Number |
11876037
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井上 章二 愛媛大学, 農学部, 助教授 (30142342)
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Keywords | 林野火災 / 延焼拡大 / 燃焼速度 / 風向風速 / 樹木の片面燃焼 |
Research Abstract |
日本における林野火災の現状を把握するため、1949年から1997年までの林野火災に関する資料(都道府県別の林野火災件数・面積、大規模林野火災の件数・面積等)を収集し、統計分析を行った。その結果、全国的には、1973年を境に、それまで増加していた林野火災が減少していることが確認された。しかしながら、最近10年では横ばいあるいは微増の傾向を示しており、その要因調査が必要であると思われた。また、出火原因はたばこの不始末等、そのほとんどが人為的なものである。林野火災件数でみると、京阪神の大都市を抱えた都府県が多く、先の出火原因を裏付けている。しかし、季節的には、林野火災、特に大規模林野火災の発生は2月から5月の春先に集中している。その大規模林野火災は、地域的にも集中しており、特に瀬戸内地方、北部九州地方で繰り返し起こっていることがわかった。すなわち、発生した林野火災が大規模なものに拡大するかどうかは、季節や地域等の自然的要因に支配されると考えられた。大規模林野火災は件数では全体の1%にも満たないが、面積では約50%を占め、自然災害としてみた場合、林野火災の問題は、発生そのものの減少よりも、大規模化させないことが特に重要であることが再確認された。 大規模化すなわち延焼拡大のメカニズム解明に必要な、火災時の風向・風速を知るため、火災跡地の残存木の調査を実施したが、片面燃焼痕が鮮明に残る林野火災はなく、今後の林野火災において引き続き調査する予定である。その結果と片面燃焼および燃焼速度に関する風洞実験から、林野火災の延焼拡大予測法を確立させたい。
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