2000 Fiscal Year Annual Research Report
林野火災時の風向・風速の推定法の開発と延焼拡大予測
Project/Area Number |
11876037
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井上 章二 愛媛大学, 農学部, 助教授 (30142342)
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Keywords | 林野火災 / 樹木の片面燃焼 / 風向風速 / 延焼拡大予測 / 風洞実験 / 燃焼材料 / みかけの密度 / 燃焼速度 |
Research Abstract |
本研究では、風洞をもちいた燃焼実験により、火災跡地の立木に残る燃焼痕(いわゆる樹木の片面燃焼痕)から火災時の現地の風向・風速を推定する方法について検討を行った。 まず、風向については、いずれの実験条件においても、樹木の風下側の燃焼痕が風上側に比べて高い位置まで残っており、風向は樹木の燃焼痕から推定できることが明らかとなった。 次に風速に関して、風上側の燃焼痕の高さは、風速が大きくなるほど低くなり、風下側の燃焼痕は風速とは無関係に直径が大きくなるほど高くなった。また、風下側の燃焼高と風上側の燃焼高の差(H_d)が、風速を推定する上で重要な因子であることが確かめられた。しかし、この結果を現地へ適用するためには、風洞実験と実際の林野火災とのスケールを考えると、風下側燃焼高と風上側燃焼高の比(H_r)も、重要な因子であると考えられ、次元解析の結果、次の実験式が導かれた。 風上着火:H/D=1.86×10^<-1>(U・D/ν)^<1.64> 風下着火:H/D=7.24×10^<-5>(U-D/ν)^<1.21> ただし、H=H_d×H_r,Dは材の直径,Uは風速,νは空気の動粘性係数 火入れを利用した現地実験において、実験式の適用性を検討したところ、高い精度で火災時の現地の風速が推定できることが確認された。 また、延焼拡大予測に必須の燃焼速度に関しても風洞実験の結果、燃焼速度が最大となる燃焼材料のみかけの密度が存在することが明らかとなった。今後、現地植生の状態から火災時の燃焼速度推定の可能性があり、林野火災延焼拡大予測につながると考えられる。
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