1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11876052
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山浦 逸雄 信州大学, 繊維学部, 教授 (70191202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢嶋 征雄 信州大学, 繊維学部, 助手 (50109203)
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Keywords | 接地抵抗 / 植物 / 生長 / 根 / 枯死過程 / ヒマワリ / ケナフ / インピーダンス |
Research Abstract |
植物の生長過程における根の接地抵抗の変化を知るために,実験対象としてケナフ,ヒマワリを選んだ。一般に,草本の接地抵抗は樹木のそれとは異なりかなり高いので,従来の測定装置をそのまま使用すると,誤差が大きく正確な測定を行うことができない。このため専用の改造を行った。当初これらの改造と性能確認のために時間がとられ,対象の生長過程については測定できなかった。実際に測定できたのは,ほぼ生長しきった頃で,茎径も一定に達しその後ほとんど太くはならなかった。生長過程についてのデータは取れなかったが,枯死過程についての測定を行ったことになる。測定期間は9月末から12月はじめまでの10週間である。まず,ヒマワリの純抵抗は12kΩを中心に約±5kΩの変動を示した。測定期最後になっても抵抗値の低下はそれほどみられなかった。ケナフについては約2kΩで,変動が少なくほぼ一定値を保った。これに対し,容量には明瞭な変化が見られた。すなわち,ヒマワリにおいては継続測定開始期に30〜40nFを示したものが,次第に減少し,最後には1nF程度になった。ケナフにおいては始めに8nFあったものが、測定終期にはほとんど0となった。これら容量の変化は根の組織のインピーダンス変化に由来するものと考えられた。組織細胞が生きており,活性があると細胞壁(膜)は内外環境の隔絶をはかるので,当然膜容量をもつ。次第に活性がなくなり死んでくると、膜は破壊され,容量はなくなる。一方,純抵抗については根の水分量と関係あり,これが多いと抵抗は低くなる。しかし,変化せずに一定値を保ったというのは、根あるいはその周辺の水分量には顕著な変化がなかったと解釈される。以上の結果は枯死過程においてみられたものであるが,生長過程においては組織のインピーダンス変化と根の生長に対応した接地インピーダンスの変化が見出されるものと考えられる。
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[Publications] 山浦逸雄,萩本鉄,田中京子,矢嶋征雄,福馬均: "樹木の接地インピーダンス測定法"電気学会論文誌C. 120-C,3. 434-439 (2000)
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[Publications] 福馬均,田中京子,山浦逸雄: "マルチ電極法による円柱形植物体インピーダンスの測定"電子情報通信学会論文誌A. J82-A・10. 1593-1601 (1999)
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[Publications] 萩本鉄,田中京子,矢嶋征雄,山浦逸雄: "4電極法を用いた樹木の接地抵抗測定"日本機械学会北陸信越支部第36期総会・講演会論文集. 49-50 (1999)
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[Publications] 山浦逸雄,萩本鉄,田中京子,矢嶋征雄,福馬均: "4電極法を用いた樹木の接地インピーダンスの測定"医用電子と生体工学. 特別号,37. 270-270 (1999)
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[Publications] 福馬均,田中京子,山浦逸雄: "マルチ電極法による植物体インピーダンスと電極インピダンスの同時測定"医用電子と生体工学. 37・4. 26-27 (1999)
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[Publications] 萩本鉄,田中京子,矢嶋征雄,山浦逸雄,福馬均: "4電極法を用いた樹木の接地インピーダンス測定"SICE'99第38回学術講演会予講集. II. 517-518 (1999)
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[Publications] 山浦逸雄他: "環境電磁ノイズハンドブック(資料編:-研究用-樹木接地抵抗計)"朝倉書店. 605 (1999)