1999 Fiscal Year Annual Research Report
小径有髄線維と無髄線維の新たな選択的感覚神経伝導検査法の開発
Project/Area Number |
11877104
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
志賀 裕正 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90271931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸山 泰人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30136428)
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Keywords | 末梢神経伝導検査 / 電気刺激 / 三角波 / 小径有髄線維 / 無髄線維 |
Research Abstract |
現在、末梢神経伝導検査はルーチーン検査としてひろく行われているが、測定可能なのは大径有髄線維のみであり、小径有髄線維や無髄線維の機能は全く反映されていない。末梢神経が電気刺激されると刺激部位が脱分極し、電位が一定のレベル(閾値)に達すると駆動電流が流れ刺激部位は再分極し不応期となります。末梢神経が電気刺激され、賦活されるのにこの閾値と脱分極の持続時間が重要です。閾値と脱分極の持続時間は大径有髄線維、小径有髄線維、無髄線維ではそれぞれ異なっており、そのため現在刺激に使われている矩形波を用いた電気刺激では大径有髄線維しか賦活させることはできません。 近年、サインカーブを描くような電気刺激を用いると周波数を変化させることによって大径有髄線維、小径有髄線維、無髄線維の閾値を別々に測定できるNeurometerという装置が開発されました。この装置の原理にヒントを得て、サンイカーブに近くなるように三角波発生装置で刺激電流の立ち上がり角度、強さを変化させて小径有髄線維、無髄線維の伝導検査を試みた。 そこで同意を得た健常成人男性を対象に三角波による末梢神経伝導検査を試みた。(1)小径有髄線維刺激のためにはピークまでの立ち上がり時間1msec、基線に戻るまでの時間1msecの三角波で、(2)無髄線維刺激のためにはピークまでの立ち上がり時間50msec、基線に戻るまでの時間50msecの三角波で刺激を行った。(1)では約3m/secの、(2)では約15m/secの伝導速度を持つ感覚神経活動電位を誘発することができた。しかし被験者の個人差、刺激する末梢神経個々の差が大きく、また全例に誘発可能とまではいかず、刺激方法についてはまだまだ工夫、改良すべき余地があるのが現状です。
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