1999 Fiscal Year Annual Research Report
上皮由来抗菌ペプチドの利用による歯周病原性細菌の感染予防にむけて
Project/Area Number |
11877366
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高柴 正悟 岡山大学, 歯学部, 助教授 (50226768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苔口 進 岡山大学, 歯学部, 助手 (10144776)
前田 博史 岡山大学, 歯学部, 助手 (00274001)
明貝 文夫 岡山大学, 歯学部, 助手 (50263588)
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Keywords | 歯周病 / 抗菌ペプチド / 細菌感染制御 / 唾液(腺) / 上皮(細胞) / 局所遺伝子導入 |
Research Abstract |
歯周病罹患歯肉中にヒト型ベータディフェンシン-2(hBD-2)のmRNA発現を遺伝子増幅法によって確認し,そのcDNAをクローニングした。その発現量は,炎症度の強さに比例する傾向があった。この遺伝子を,ヒトelongation factor-1のプロモーターと連結した哺乳動物系細胞用の発現プラスミドベクターに挿入した。これを用いて,ヒト口腔上皮由来細胞等にin vitro遺伝子導入を行い,hBD-2ペプチドの産生を免疫染色によって確認した。しかし,この産生量では,現在のところ抗菌性を発揮するにはいたらなかった。今後は発現量の増加のための改良が必要である。さらに,ラットを用いてin vivoでの遺伝子導入を試みた。hBD-2遺伝子の代わりにレポーター遺伝子を用いた。現在,その遺伝子発現を確認中である。さらに,導入および発現効率を向上させるために,海外の研究者(米国南カリフォルニア大学歯学部顎顔面分子生物学センター)の協力のもと,ウイルスを含めた新規ベクターの利用を検討中である。 一方,合成のhBD-2ペプチドを用いて,口腔内細菌に対する抗菌性を検討した。その結果,10%の血清存在下では,抗菌性を全く消失するが,ヒト唾液の存在下では,80%の唾液濃度であっても,抗菌性は70%程度保持されることがわかった。さらに,0.1mMの濃度のhBD-2は同濃度の塩酸ミノサイクリンと同程度の抗菌性を有していた。 また,hBD-2のプロモーターをクローニングした。これを口腔上皮細胞に導入してレポーター遺伝子の発現解析を行う準備が完了した。今後,口腔上皮におけるhBD-2遺伝子の発現に関与する転写因子を解析する予定である。
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