Research Abstract |
本研究の目的は処理の困難なNOxに焦点をあて,ユニークな非平衡プラズマを用いた脱着・再生を行い,低濃度大容量排ガスを高濃度小溶量に変換して高効率に除去するシステムを確立することにある.国内外でのこの非平衡プラズマ脱着・再生の研究している研究者はほとんどなく,申請者の独創的なアイデアであり,排ガス処理コストの大幅な縮小が期待でき,地球規模の環境保護にも大きく貢献できると考えられる. 実験においては実験時間を短縮するためNO濃度4000ppmとし,吸収材としてモレキュラーシーブ(MS)3A,4A,5A,13Xを用い,バリアタイプパックドベッドリアクター(15cm^3)に充填させ30分吸着させた後,NO供給を止め10kV印加した.吸着はアルミナやMS-3Aでは十分な吸着が起こらずMS-4A,5Aと吸着は増し,MS-13X(有効分子径=10Å)では最大の吸着特性を示した.これはNOの有効分子径とNO分子の結合力に関連しているものと考えられる.プラズマによる繰り返し吸着,脱着実験を行った結果,一回目の脱着よりも,二回目,二回目より三回目の脱着がより効果的に行われていることが確認された.すなわち,NOのプラズマ脱着は吸着材表面で低電力で行なわれていることが判明した. 本年度は以上の方法に関する詳細な基礎データが得られ,ほぼ当初の目標が達成されたが,これに基づいて,対象とするガス濃度,吸着材,プラズマリアクター,背景ガスを限定選択し,我々の保有するプラズマ発生電源:商用高圧AC電源(15kV,30mA),周波数可変矩形波電源(30kV,10mA,60〜1024Hz),高周波電源(30kV,10mA,20〜30kHz),RF電源(1kW,13.56MHz)によるプラズマ脱着・再生の有効性,最適条件を検討し,システムの実用性,経済性と信頼性の評価を行っていきたい.
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