2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11CE2001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青柳 正規 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40011340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 弘明 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00138182)
岸本 美緒 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80126135)
今村 啓爾 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (70011765)
越塚 登 東京大学, 情報基盤センター, 助教授 (40262266)
田村 毅 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90011379)
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Keywords | 象形文化 / 継時的研究 / 共時的研究 / 資料学 / 古代ローマ文化 / ローマ / ポンペイ / 文化相 |
Research Abstract |
1象形文化アーカイブ構築のための各種資料の収集・整理・記載 (1)ローマ、ポンペイに関する資料の収集・整理・記載 ローマに現存する古代の遺構・遺物等の文化財および歴史的景観の写真撮影を約1,200件行い、それらの整理・記載を和伊2カ国語で行う。ポンペイに関しては資料収集のための写真撮影チームを派遣し写真約7,000点、ビデオ約24時間相当を入手し、整理・記載を和伊2カ国語で行う。以上の作業にはナポリ大学よりイタリア人研究者を招聘し、協力を得た。なお、ローマ、ポンペイいずれの場合も学術上の使用及びインターネットによる発信に関して一定範囲内での著作権を確保しいるが、インターネットにのせる画質に関しては制約が大きく、現在イタリア文化財省と交渉中である。 (2)近世国絵図資料の収集・整理・記載 東京大学総合図書館所蔵の近世国絵図資料約200点の写真撮影を行い、現在整理・記載をおこなっている。 (3)過去25年間に撮影した写真資料の整理・記載 古代地中海文化の遺構・遺物等の写真約8,000点のうち約2,000点の整理・記載を和伊2カ国語で行った。なお記載言語として独語、仏語、英語を部分的に採用し、検索システムの開発研究に活用する予定である。 (4)フィレンツェ、スティッベルト美術館における資料の収集・整理・記載 NTTが開発した超高精細デジタルカメラ(4K×5K:16bit)によって撮影した同美術館所蔵の美術品のうちおもに日本近世の武具を中心に、それらの整理・記載を和伊2カ国語で行う。また超高精細デジタルカメラによる撮影資料が学術資料として使用可能かどうかを調査研究した。なお、学術上の使用及びインターネットによる発信に関して一定範囲内での著作権を確保した。 (5)貴重本のデジタル化と記載 19世紀初頭のMazoisによるポンペイ関連の著作、Piranesiの版画集などのデジタル化を行い、その解説や記載を行い、貴重本の資料公開の方策を研究した。 II学術資料としてのアナログ写真とデジタル画像の比較研究 すでに撮影した被写体を観察しながら、銀塩写真とデジタル画像の画質を比較研究すると同時に、保存・分類・比較等の要件にそれぞれがどのような特性を有しているかを検討した。最終的成果もしくは結論は来年度末までかかると考えられるが、デジタル化にあたって銀塩写真の重要性が確認されており、今後どのような保存法と整理法を確立し、「原典」としての銀塩写真の価値を確立するかが課題である。 III象形文化アーカイブ構築のための記載方法の研究 銀塩写真・デジタル画像の学術資料化に必要な多国語による記載の要件と方法をI-(1),(2),(3),(4)などの抽出サンプルにもとづきながら研究中である。とくに各国語によらて異なる地名などの固有名詞については、対照表に基づく辞書を象形文化アーカイヴに内蔵することも検討中である。 IV象形文化アーカイヴのアーキテクチュアに関する研究 大規模画像データベースを核とする象形文化アーカイブのアーキテクチュアに関して、日本語を含む多国語使用を前提として開発研究を初期段階を行った。この開発研究においては日立製作所試作開発センターの協力を得ながら、画像データの検索システムの構築だけでなく、検索に使用可能な「共通言語」の策定、画像データの属性の増大など将来の研究データとして活用しうる方策導入を研究課題としている。また、イントラネット上の検索システムとインターネット上の検索システム、および画像情報の適切な画質の研究も行った。 V文書・文献資料の象形文化アーカイヴへの導入・活用方法に関する研究 文書・文献資料を写真撮影し各種のデジタル化を行うことによって、また文字のデジタル化によって象形文化アーカイヴへいかに導入し、活用し得るかを研究を開始した。とくにフォリオ版と呼ばれる18世紀、19世紀の貴重本のデジタル化による公開が研究上どのような役割を果たすかを研究した。 VI国際シンポジウムの開催 平成14年2月12日、13日の2日間にわたって「ポンペイとその記録」と題するコクサイシンポジウムを開催した。欧米から8人め考古学、地質学、情報学の専門家を招聘し、ポンペイの有する記録性とそれをいかに記録するかを研究した。なお、シンポジウムの参加者総数は約70名にのぼり、プロシーディングは平成14年度に出版の予定である。
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Research Products
(21 results)
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[Publications] 青柳正規: "カッツァネッロのローマ時代別荘遺構の年代について-中部イタリアの住宅建築研究-"考古学の学際的研究濱田青陵賞受賞者記念論文集I. 63-84 (2001)
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[Publications] M.Aoyagi, C.Angelelli: "Mosaici e sectiia pavimenta della villa romana di Cazzanello(VT),"Actes du VIII Colloque de l'Association Internationale pour l'Etude de la Mosaique Antique (AJEMA). (印刷中).
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[Publications] 今村啓爾: "東南アジアの先史美術"『世界美術大全集』東洋編12・東南アジア(小学館). (2000)
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[Publications] 小佐野重利: "絵画にみる身ぶり解釈の有効性もしくは限界-中世末から近代初めまでの世俗描写を中心に-"西洋美術研究. No.5. 50-76 (2001)
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[Publications] 丸井浩: "ジャイナ教文献におけるJayanta Bhattaの引用断-"Pallava"の正体-"『アビダルマ仏教とインド思想』(加藤純章博士還暦記念論集). 445-461 (2001)
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[Publications] 佐藤康宏: "遠景の色-大雅の山水画におる白描と青緑"国華. 1271号. (2001)
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[Publications] 岸本美緒: "雍正帝の身分政策と国家体制--雍正五年の諸改革を中心に--"中国史学会編『中国の歴史世界--統合のシステムと多元的発展--』東京都立大学出版会. 269-300 (2002)
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[Publications] 岸本美緒: "明清時代における『風俗』の観念"小島毅編『多分野交流演習文集東洋的人文学を架橋する』東京大学大学院人文社会系研究科多分野交流プロジェクト. 103-132 (2001)
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[Publications] 野島陽子: "GHQ文書による千葉県"近現代千葉の諸相. (2000)
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[Publications] 石井規衛: "演劇的空間としてのロシア革命"岩波講座『世界歴史』第27巻、岩波書店. 317-337 (2000)
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[Publications] 長島弘明: "Early Modern Literature"AN INTRODUCTRY BIBLIOGRAPHY FOR JAPANESE STUDIES Vol.XII Part2: Humanities 1997-98(東方学会編 The Japan Foundation). 147-159 (2001)
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[Publications] 大木康: "晩明俗文学興盛的精神背景"中央研究院中国文哲研究所『世変与維新』. (2001)
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[Publications] 高山博: "ノルマン・シチリア王国の行政機構再考"西洋史研究. 新輯第29号. 85-103 (2000)
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[Publications] 浦一章: "奇蹟の婦人ベアトリーチェ"『ダンテ、ペトラルカほか』(週刊朝日百科「世界の文学」57). 196-200 (2000)
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[Publications] 片山英男: "バルツィッツァの修辞学再編"ルネサンスの知の饗宴. 53-65 (1994)
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[Publications] 越塚登(重定如彦, 坂村健と連名): "デジタルミュージアムのためのキオスク型WWWブラウザ"電子情報通信学会論文誌. (掲載予定).
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[Publications] 越塚登: "デジタルミュージアム"Science o fHumanity(人文学と情報処理). Vol.30. 55-66 (2001)
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[Publications] Toshiro Kamiuchi, Toru Kanai, Nobuo Ikeshoji, Yoshiaki: "Digital Image System"The 13th Triennial Meeting of the ICOM Committee for Conservation. (掲載予定).
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[Publications] Toshiro Kamiuchi: "DIS (Digital Image System) Technology and its Application to Digital Silk Roads Project"Tokyo Symposium for Digital Silk Roads(Abstracts).
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[Publications] 吉田伸之: "巨大都市江戸の分節構造"山川出版社(単行本). (2001)
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[Publications] 田村毅: "ネルヴァル全集(全6巻共編著1998年2002年継続中)"(筑摩書房).