2011 Fiscal Year Annual Research Report
Khovanov-Lauda-Rouquier代数の表現論の研究
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11F01016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有木 進 大阪大学, 情報科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PARK Euiyong 大阪大学, 情報科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 結晶基底 / KLR代数 |
Research Abstract |
研究を開始してまだ半年である。当初の研究計画に基づき、アフィンD型完全結晶を用いた結晶基底の導入を目指した。とくにその一環としてmultiset crystalの概念を導入し、ParkはこれをアフィンD型KLR代数の既約表現のなす結晶基底と比較した。しかしこのままでは、KLR代数側で期待される性質と食い違う点があることが新たな知見として得られ、現在は理論の修正を目指している。 次に京都学派のソリトン理論の研究を取り上げ、結晶基底の観点から検討を行った。この理論は本研究に深く関連しているのであるが、結晶基底導入以前の研究であるため、現在の研究計画に基づく視点から改めて検討することが有用であるためである。D無限型の場合を考えると、Fock空間のよい基底をとることにより、アフィンD型完全結晶が自然に現れるのであるが、これをもとに結晶基底の構成を行おうというのが方針である。この研究の中で、Ringel-Hall代数によるアプローチも用いることにより、Parkは階数2かつD無限型の場合にヤング壁に似た構成で組合せ論的な結晶基底を構成するとともに、この結晶基底から巡回KLR代数の既約表現のなす結晶基底への同型を具体的に与えた。その他、基本表現に対応するアフィンD型KLR代数は半単純代数になることも示した。 また、D無限型からユークリッド型へ簡約する方針が我々の研究でも可能かどうかを検討している。 研究計画に基づき、結晶基底の専門家Shin,Dong-UyおよびKim,Jeong-Ah氏を韓国から短期間招き研究討論を行った。その結果、本研究に関連した結晶基底に関する有用な知見がいくつか得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
D型の完全結晶をもとにmultisegmentを導入するとの当初の目的に沿って、予想された結晶基底の候補を探したが、当初の予想と異なりKLR代数の既約表現の構成ときれいにマッチしない点が見られたため。しかし、それ以外の点では計算例も積み上がり、それなりの進展を見せている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りアフィンD型のKLR代数を研究していく。
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