2011 Fiscal Year Annual Research Report
π共役分子ゲルからなるアニソトロピック有機相を用いた高選択的HPLC固定相の開発
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11F01034
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊原 博隆 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAY Sudipta 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | HPLC / シリカ / ペプチド / イオン液体 / HILIC / π-π相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、多様化する分離対象物質に対して広範に適用し、高い選択性とそのチューニングが可能なメカニズムを有するマルチモードHPLCを実現するための分離剤の開発を行うものである。本年度は、弱い相互作用点の集積と、ミクロ環境(一次構造、二次構造)の制御による選択性の増幅・変換を目指し、(1)相互作用点を芳香族性側鎖とするトリペプチド、および(2)相互作用点をカルボニル基(アミド結合)とし、これをポリマー主鎖上に集積する2種類のアプローチで検討を進めた。 (1)具体的には、芳香属性アミノ酸としてチロシンを選択し、Boc-Try-Ala-Tyr-OHおよびBoc-Phe-Aib-Phe-OHの2種類のトリペプチドを合成し、これらのペプチドをGraft-to法を用いてシリカ粒子に固定化して、Sil-YAYおよびSil-FUFをそれぞれ得た。これらをカラムに充填し、芳香族炭化水素やステロイド、ヌクレオチドに対して逆相モードで保持挙動を調査したところ、sil-YAYとsil-FUFは、市販のODSより疎水性が小さいにもかかわらず、水含有量の高い移動相で高い保持係数および選択性を示すことが明らかになった。この機構については現在調査中であるが、これらの開発固定相がHILICモードで利用可能なことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するために、新たなアプローチとしてイオン液体を有機相とする分離剤の開発を追加したが、それ以外は当初の計画通り、π共役系側鎖を有するペプチドをグラフト化したシリカを合成し、HPLCにおける基本性能を調査し、想定内の結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
とくに研究計画の大きな見直しはない。前年度に合成したペプチドグラフト化シリカ、Sil-poly(ODVIm)-alt-(OMI)を用いて、逆相クロマトグラフィーや親水性相互作用クロマトグラフィーを行う。また、チロシン脂質を修飾したシリカ粒子(Silica-DYS)を固定相とした場合の挙動についても調査を行う。
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