2011 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ひずみ加工により作製されるナノ組織TWIP銅の組織と機械的性質
Project/Area Number |
11F01067
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 伸泰 京都大学, 工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAHA Rajibs 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | TWIP(Twinning Induced Plastieity) / 巨大ひずみ加工 / 超微細粒 / 双晶 / 機械的性質 / 再結晶 / 加工硬化 / 延性 |
Research Abstract |
TWIP鋼とは、Twinning Induced Plasticityの略であり、高い引張延性と高強度を兼ね備えることから、近年世界的に注目されている高機能鉄鋼材料である。高Mn準安定オーステナイト鋼にAl等の合金元素を加えることにより、FCC結晶の積層欠陥エネルギーを大きく低下させ、双晶変形を起こりやすくしているものと考えられるが、その高延性・高強度の発現メカニズムは十分明らかではない.本研究は、TWIP鋼のオーステナイト結晶粒を1μm以下の超微細結晶粒とすることにより、さらに高い強度と延性、靭性を、より単純な化学組成で実現し、組織と機械的性質の相関性を詳細に明らかにしようとするものである.超微細粒TWIP鋼の変形特性が明らかとなれば、将来の実用材としてのTWIP鋼の可能性が大きく広がるのみならず、結晶粒径(または粒界)と変形双晶の発生という、本質的な未解明問題が基礎的に明らかになる。 平成23年9月に外国人特別研究員(Saha)が来日し、研究を開始した。Fe-31wt%Mn-3wt&Al-3wt%Si合金を用い、熱間圧延厚板に対して強冷間圧延を行い、それを焼鈍することによって、平均粒径400nmの再結晶超微細粒組織を得ることができた。このナノ組織は、完全再結晶組織を持つ金属としては、従来報告されたことにない最小粒径である。また、ナノ再結晶組織TWIP鋼が、高い降伏強度、引張強度とともに、数十%の優れた引張延性を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
家族とともに来日し、異国での生活基盤を整える必要もあったにもかかわらず、半年間という限られた期間で優れた研究成果を出している。特に、粒径400nmのナノ組織が得られたが、これは再結晶組織としてはこれまで報告されたことのない、世界で初めての重要な成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度得られた成果、特に粒径400nmのナノ再結晶組織の形成に関する実験結果を早急に論文化するとともに、さらなる組織の微細化が可能か否かを明らかにする。
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