2011 Fiscal Year Annual Research Report
先端バイオマーカー技術を用いたサンゴ礁における粒子状物質の動態解析
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11F01075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 俊 東京大学, 大気海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WYATT Alex 東京大学, 大気海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | サンゴ礁 / 懸濁態有機物 / 粒子 / 八重山諸島 / バイオマーカー / アミノ酸 / 窒素循環 / 生態系 |
Research Abstract |
本研究は、サンゴ礁に対する窒素の負荷機構としてこれまで見逃されてきた、粒子態有機物の寄与を明らかにし、サンゴ礁における物質動態と生態系維持機構に関する理解を深化することを目的とする。本年度は、本研究の遂行のうえで必要なサンゴ礁の粒子動態解析と粒子サンプルの採集・分画方法に関する方法についての文献調査を進めた。また、バイオマーカーとして有用性の期待されるアミノ酸別窒素同位体比や脂肪酸・色素の測定方法についての手法の検討を行った。さらに、フィールドの予備調査を、沖縄県八重山諸島を中心として実施し、本研究の遂行に適したフィールドの選定を進めるとともに、予備的なフィールド調査を実施した。具体的には24年1月に石垣市伊土名のサンゴ礁域において礁内の24時間定点採水、また白保サンゴ礁域において水塊追跡採水を実施し、観測手法の最適化を試みた。また粒子態有機物の化合物別安定同位体比分析のための200リットル大量採水を行った。24年3月にはフィリピン沿岸域の海外学術調査に同行し、ルソン島北部及びミンドロ島東部のサンゴ礁域において同様の定点採水・水塊追跡採水・200リットル大量採水を実施した。これらの調査により得られたサンプルは現在分析中である。フィリピン調査時には採水に加え、現地研究者との共同研究として局所的な物質負荷や海水交換速度が生物に及ぼす影響を評価するための新しい手法の開発の一環として、浮遊粒子食者(二枚貝・ホヤ類・造礁サンゴ・ソフトコーラル)の現場移植実験を試験的に開始した。移植生物は約6ヶ月後に現地を再訪して回収し、各種の生化学成分分析・同位体比分析に供せられる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究手法に関する文献調査を進め、必要な情報の整理を進めた。また、主要な調査値である沖縄八重山諸島等での予備調査を実施し、サンプルの採集方法についての検討を順調にすすめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施した予備調査や分析手法の検討の結果をもとに、沖縄八重山諸島等での本調査を実施し、サンゴ礁における粒子動態に関わるデータの収集を進める予定である。
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Research Products
(1 results)