2012 Fiscal Year Annual Research Report
ハイポウイルスの多機能性蛋白質p29により誘導されるレオウイルスゲノム再編成
Project/Area Number |
11F01085
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 信弘 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
COPE A.E. 岡山大学, 資源植物科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | RNAサイレンシング / RNAサイレンシング抑制タンパク質 / dsRNA / レオウイルス / ハイポウイルス |
Research Abstract |
クリ胴枯病菌(Cryphonectria parasitica)は子のう菌の一種でクリ樹を枯死させる植物病原菌である。クリ胴枯病菌は少なくとも5科のメンバーの宿主となっている。本研究では、異種ウイルス(ハイポウイルス)の蛋白質(p29)で誘発可能なレオウイルス(MyRV1)ゲノムセグメントの遺伝子再編成を多方向から解析する。今年度は上記目的のため以下の2項目を実施した(申請書に記載した実施項目1,2の実施状況については昨年度のC-7-1を参照されたい)。 3 p29相互作用性ウイルス因子の解析 既にp29およびマイコレオウイルス全セグメントの昆虫細胞発現に成功した(Sun et al., 2006 ; Supyani et al., 2007)。p29とマイコレオウイルス蛋白質との相互作用を免疫沈降法および他の手法で調べた。その結果、S9コードのVP9がp29と相互作用することが明らかとなった。また、p29がセグメントの配列(例えば、セグメント特異的末端配列等)特異的結合親和性を示すかどうかをStrepto Tag法により調べた。しかし、期待される結果は得られなかった。 4 p29応答性宿主/ウイルス遺伝子の同定および遺伝子再編への関与 p29がRNAサイレンシング抑制蛋白質である。再編成誘導能とRNAサイレンシング経路とのリンクを解明するため、RNAi主要宿主成分(DCI,RDR,AGL)欠損株を作成あるいは入手した。それら変異株でMyRV1ゲノム再編成誘導を調べた結果、大変興味深いことに△dc1-2,△ag1-2でウイルス系統特異的再編成が認められた。すなわち、MyRV1/S4ssのみが△dcl-2でゲノム再編成をうけ、野生型を含む他の宿主菌系統では再編成は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実施項目を遂行してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
5p29のmiRNAへの影響 糸状菌ではsiRNAは同定されているが、miRNAは未だ発見されていない。そこで、miRNAのクローニングを試み、成功した場合にはp29によるそれらmiRNAへの影響を調べる。さらに、それらmiRNAの標的の同定を行い、遺伝子再編成の誘導との関連を調べる。この点については、dcl2破壊株で再編成が促進されるという興味深い現象を既に見つけている。 6植物ウイルス由来RNAサイレンシング抑制蛋白質の遺伝子再編成誘導能 RNAサイレンシング抑制能と遺伝子再編成誘導能との関連が示された場合は、他のRNAサイレンシング抑制蛋白質(例えば、植物ウイルス由来のPotyvirus HC-Pro,)のMyRV1遺伝子再編成誘導能を検定する。 7p29の他のレオウイルス遺伝子再編成誘導能 他のレオウイルス/宿主(動物、イネ、白紋羽病菌)でp29を発現させ遺伝子再編成を誘導するかを調べる。
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