2012 Fiscal Year Annual Research Report
能動的腫瘍内微小環境変化を利用した in vivo siRNA送達技術の開発
Project/Area Number |
11F01103
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石田 竜弘 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABULILA AmrSelimAhmedAli 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 外国人特別研究員
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Keywords | RNAi / DDS / siRNA / がん治療 |
Research Abstract |
研究代表者は既に、経口型抗がん剤(S-1)の繰り返し投与とPEG修飾siRNAナノキャリア複合体の静脈内投与とを併用することで、PEG修飾siRNAナノキャリア複合体の腫瘍移行量が上昇することを確認している。さらに、RNAiにおいて重要な役割を果たすArgonaute2(Ago2)遺伝子に対するsiRNA、およびアポトーシス抑制遺伝子であるBcl-2に対するsiRNAを用いた場合、S-1と併用した場合において高い抗腫瘍効果が得られることを確認しており、本戦略がsiRNAの配列および標的遺伝子によらない普遍的なものであることを明確にしている。 当該研究期間において研究分担者のABU LILA博士と協力し、治療法が限られている難治性がんである悪性胸膜中皮腫に着目し、ヒト悪性胸膜中皮腫細胞をヌードマウス胸腔内に移植した同所移植モデルを作製し、これを用いた核酸医薬による治療効果について検討した。臨床において悪性中皮腫の治療は代謝拮抗剤の一種であるアリムタとシスプラチンの併用しか認められていないことから、核酸医薬の併用薬としてこのアリムタを選択した。核酸医薬(shRNA)の標的遺伝子としてはチミジル酸シンターゼ(TS)を選択した。TSに対するsfRNAを含有するlipoplexは胸腔内投与し、アリムタは腹腔内投与し、その併用効果を検討したところ、両者を併用した場合に相乗的な胸腔内での腫瘍細胞増殖抑制効果を得ることができた。アリムタ投与により、胸腔内においても核酸含有lipoplexが腫瘍組織内に浸潤しやすくなっているものと考えられ、非常に興味深い結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
同所移植モデルによる核酸医薬を用いた難治性悪性胸膜中皮腫の新規治療法を提案するに至っており、大いなる進展を遂げているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的に添う結果が得られており、今回得られた知見を用いて、臨床応用可能な核酸医薬およびそのデリバリーシステムの開発に進みたい。
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