2011 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム膜を用いて達成しうる最大水素透過流束の評価
Project/Area Number |
11F01207
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
原 重樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 研究グループ長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CARAVELLA Alessio 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 水素 / パラジウム / 分離膜 / 燃料電池 |
Research Abstract |
パラジウム(Pd)膜は高分子膜や無機膜に比して高い水素選択性および透過性能を有していることから燃料電池に必要な水素の精製への利用が期待されている。Pd膜の水素透過流束は膜厚に反比例して増大するが、そのうちに水素分子の吸着・脱離といった表面過程の影響が顕著となって透過流束は限界に達すると考えられている。しかしその実験的根拠は十分でない。そこで本研究は有効表面積を小さくすることで表面律速の状況を作り出し、Pd膜で得られる水素透過流束の上限を実験的に評価することを目的としている。有効表面積を小さくするためにPd膜表面にリソグラフィーの技術を活用して銅(Cu)のマスクを形成することを特長としている。23年度は主としてそのための準備に当てられた。 まずPd箔を水素透過特性評価用セルに取付け、513~773Kの範囲で水素透過特性を評価した。膜の両側(便宜上、片側を供給側、他方を透過側と呼ぶ)に純水素を導入し、セルの透過側から排出される水素の流量と透過側に導入した水素流量の差から膜の水素透過速度を評価した。透過側の圧力は120、500および900kPaの3つの圧力とし、それぞれについて供給側の水素圧を0~980kPaに変化させた。一連の実験においてPd膜は崩壊することなく今後の水素透過特性評価のための実験条件を明らかにすることができた。 さらにリソグラフィーに必要なマスクを設計し試作した。マスクのパターン、繰り返しピッチ、パターンの精細さなど、マスク作製における種々の限界を考慮して6つのマスクを試作することができた。 以上から、続く平成24年度に行う研究に必要な技術的準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、続く24年度の研究に必要な技術的準備を整えることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りCuマスクを被覆したPd膜を作製し、その透過速度を評価する。その結果から最大水素透過流束の評価に挑戦する。得られた成果を国際会議での発表や論文投稿を通じて対外発表する。
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