2012 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム膜を用いて達成しうる最大水素透過流束の評価
Project/Area Number |
11F01207
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
原 重樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 研究グループ長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CARAVELLA Alessio 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境化学技術研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 水素 / パラジウム / 分離膜 / 燃料電池 |
Research Abstract |
パラジウム(Pd)膜は高分子膜や無機膜に比して高い水素選択性および透過性能を有していることから燃料電池に必要な水素の精製への利用が期待されている。Pd膜の水素透過流束は膜厚に反比例して増大するが、そのうちに水素分子の吸着・脱離といった表面過程の影響が顕著となって透過流束は限界に達すると考えられている。しかしその実験的根拠は十分でない。そこで本研究は有効表面積を小さくすることで表面律速の状況を作り出し、Pd膜で得られる水素透過流束の上限を実験的に評価することを目的としている。有効表面積を小さくするためにPd膜表面にリソグラフィーの技術を活用して銅(Cu)のマスクを形成することを特長としている。24年度にはこうした試料を作製し、水素透過特性の評価を試みた。 スパッタリング法、電気メッキ法でCuを被覆したPd膜を作製してその水素透過特性を調べた。開口のないものでは当初水素透過しないものの、時間とともに透過するようになることが明らかとなった。現在その原因を究明している。また、被覆前のPd膜表面の凹凸がリソグラフィーにおける加工精度を低下させる要因になることも明らかとなった。そこで、鏡面研磨してからリソグラフィーを行うこととした。さらに水素濃度による拡散係数や溶解度係数の変化を調べるため新しい透過モデルの構築を行った。その結果、温度の増大や膜厚の減少とともに理想的な平方根則からずれてくる挙動を定量的に示すことに成功した。これは高温や薄膜では膜を透過する速度が大きくなり、膜外の物質移動の影響が相対的に重要になるためであることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料作製・水素透過特性評価の実験は着実に進展している。さらにこれら実験結果の解析を支えるモデル構築において成果をあげており、論文投稿の直前に至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
開口のないCu被覆Pd膜の水素透過特性の時間変化の原因を突き止め、最大流速の評価を達成する。それらの成果をとりまとめて論文投稿する。
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Research Products
(3 results)