2011 Fiscal Year Annual Research Report
疾患関連タンパク質における機能決定アミノ酸残基の予測
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11F01210
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
水口 賢司 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, プロジェクトリーダー
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DESSAILLY BenoitHugues 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, 外国人特別研究員
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Keywords | バイオインフォマティクス / タンパク質ファミリー / アライメント / 予測 / アミノ酸残基 / タンパク質機能 / アミノ酸保存度 |
Research Abstract |
本研究では、バイオインフォマティクス手法を用いて、タンパク質の中で機能発現に重要な役割を果たすアミノ酸残基とその役割を同定することを目指している。本年度の研究実施計画として、1)タンパク質ドメインを機能分類したスーパーファミリーについての大規模データセットの構築、2)実験的に確認された既知の機能部位情報の網羅的な取得、3)スーパーファミリー中で保存されたアミノ酸残基の同定と既知の機能部位との比較、を掲げた。下記の通り、これら3項目全てを達成した。1)データセットの構築。機能分類したタンパク質ドメインスーパーファミリー全てについて、多重配列アラインメントを作成した。そして、多重配列アラインメント上の全ての部位について、プログラムScoreconsを用いてアミノ酸の保存度を計算し、保存アミノ酸残基を同定した。2)タンパク質上の既知の機能部位情報の抽出。Catalytic Site Atlasから酵素の活性部位残基を、IBISデータベースから低分子との結合部位を、また独自の解析により、ドメインードメイン相互作用部位を抽出した。各種の解析により、抽出したデータがノイズの少ない高品質のものであることを確認した。3)保存残基と既知の機能部位との比較。上記1)で同定したタンパク質スーパーファミリー中の保存アミノ酸残基と2)で抽出した既知機能部位を比較した。この解析により、保存アミノ酸残基と既知の機能部位との間に、統計的に有意な関係があることを見いだした。すなわち、今後の解析で、保存アミノ酸残基を近似的に機能部位と見なすことが可能だと示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画に掲げた今年度の目的全てを達成した。それに加えて、研究計画にはなかった数多くの追加の解析を行なうことができた。具体的には、本年度に構築したデータセットを用いて、タンパク質の機能部位の進化についての新たな知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って、機能分類されたスーパーファミリーのサブグループ中でのアミノ酸保存度を計算することで、機能部位の同定だけではなく、そのアミノ酸残基の詳細な機能(例えば、酵素の活性部位か、低分子との相互作用に関与するかなど)まで予測できるかどうかの検証を行なう。さらに、疾患関連タンパク質上の機能決定アミノ酸残基とその役割の解析にも着手する。特に、所属機関内の実験グループとの共同研究の確立を目指して、自然免疫に関与するパスウェイに注目した研究を行う。
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