2011 Fiscal Year Annual Research Report
アマランサスにおけるデンプン合成酵素遺伝子群とその応用に関する研究
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11F01212
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
西川 智太郎 独立行政法人農業生物資源研究所, 多様性活用研究ユニット, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PARK Young-Jun 独立行政法人農業生物資源研究所, 多様性活用研究ユニット, 外国人特別研究員
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Keywords | アマランサス / 種子貯蔵デンプン / デンプン合成酵素 / 低アミロース性 |
Research Abstract |
近年,我々の研究によってアマランサスの外胚乳からGBSSI遺伝子が同定され,その特徴,機能,発現様式,多様性および変異体に関する知見が得られるようになった。しかし,アマランサスにおいて分子レベルでのデンプン合成酵素に関する研究は始まったばかりであり,それらをコードする遺伝子群に関する情報はまだ十分ではない. 1.アマランサスにおけるデンプン合成酵素遺伝子群の同定および発現様式解明 アマランサスにおけるデンプン合成の働きをもつ各酵素の遺伝子群の中,特にアミロペクチン合成に重要な働きをもつSSSI遺伝子に着目し,その特徴,機能,発現様式,多様性について明らかにした.アマランサスSSSI遺伝子(accession no.AB626804)は15エキソン及び14イントロンから構成された.種子では登熟初期から後期にかけて発現するSteady Expresserであり,また貯蔵器官である種子の他、非貯蔵器官である葉・葉柄・茎・根のいずれにおいても発現が確認された.既知の他植物の配列との系統解析では,双子葉植物のクラスターに含まれたが,双子葉植物の中では最も外側に位置した.本研究から得られたSSSI遺伝子の塩基配列および発現様式などの新しい情報は,作物における種子貯蔵デンプン研究の発展に貢献できると考えられる. 2.低アミロース性品種の作出 2011年5月にA.cruentusウルチ1系統および低アミロース1系統を用いて,突然変異誘起処理(EMS処理)を施した当代の植物(M1)から次世代M2種子を得ることができた.また,得られたM2種子の各系統において約3900粒の種まきを行い,今後,形態調査を行うとともにM3の種取りを実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デンプン合成酵素遺伝子群の同定および発現様式解明においては,SSSI遺伝子の解析についてはほぼ完了し,SBE,DBE遺伝子の解析は中途であるが解析の見通しは立っている.また低アミロース性品種の作出においては,期間が2カ年であることを考慮し,突然変異育種を中心に後代の作出を進めている。よって,本課題は研究の目的に対して,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
デンプン合成酵素遺伝子群の同定および発現様式解明のため,研究を加速し,SBE,DBE遺伝子の解析を早急に進める。低アミロース性の合成メカニズムの解明を進め,新たな品種作出をする上で基礎的知見となる合成メカニズムを明らかにする.突然変異育種を中心に後代の作出・選抜を進める。種子貯蔵デンプン特性の違いに基づいて新しい食品素材として幅広く利用していくことを目的として,モチ・ウルチ・低アミロース性各1系統を用いて加工適性および食味試験評価を実施する。
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Research Products
(5 results)