2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01214
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
吉田 輝彦 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LOWSIEW Kee 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | がん化学療法 / GWAS / 薬物反応性 / 薬物有害反応 / 遺伝素子 / リスク予測 |
Research Abstract |
がん化学療法について適切な集団・薬剤を選択し、ゲノム網羅的関連解析(GWAS)を行い、薬剤反応性や薬物有害反応に関連する遺伝素因を同定し、その情報を用いて化学療法施行前に薬物有害反応のリスクを予測するシステムの開発を行うことを目的とした。H23年度の研究実施計画としては、サンプルの収集、遺伝子型解析データの取得、得られたデータのQC(品質検査)処理、薬物有害反応に関する臨床情報の収集とクリーニング、関連解析の着手とした。バイオバンクジャパンのサンプルから抗がん剤投与後重篤な副作用(グレード3以上)を示した805症例と、副作用を示さなかった4,804症例を用いて解析を行った。これらの症例について更に投与された主な薬剤により群分けし733,202SNPsを搭載したイルミナOmniExpress BeadChipによりタイピングを行った。ゲノム網羅的な有意水準(Fisher正確検定P値<5x10^<-8>)で有害反応と相関するSNPは同定することができなかったが、10^<-6>,10^<-7>レベルの複数の薬剤反応関連候補領域を同定することができた。これらは将来別のサンプルセットを用いた検証実験を行う際の探索的基本情報になり得る。このようなGWASによる解析は、薬剤に対する反応性や薬剤による副作用の誘発等、複合表現型に関わる遺伝的変異のリストを提供し、それらは将来、特定の薬剤に対するリスクを持つ患者を同定する予測システムに活用可能である。治療に先立ち、薬効や薬物毒性を評価する予測システムは、がん患者の生活の質(クオリティー・オブ・ライフ、QOL)を向上させるし、個々のがん患者への投与量を明確にできれば、医療費負担も軽減できるであろう。薬効に関わる新たな遺伝子もゲノム網羅的解析により同定されるであろうし、それらの研究成果は薬剤反応性や薬剤による副作用の機能解明にも役立つと考えられる。
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