2012 Fiscal Year Annual Research Report
「ひとつの民」の保護とエンパワーメント?-国境を越える災害と人間の安全保障
Project/Area Number |
11F01312
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
峯 陽一 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GOMEZ Oscar 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 人間の安全保障 / 災害 / 外国人市民 / 情報 |
Research Abstract |
ゴメズによるデータ収集活動は昨年度にほとんど修了した。(1)インタビュー対象の外国人のもともとのサンプルの不足分を補うために、5月と7月に追加インタビューを実施した。(2)「世界防災閣僚会議in東北~世界の英知を被災地に,被災地の教訓を世界に~」および仙台における世界銀行の特別会議という防災に関する二つの国際イベントにに参加した。(3)2013年3月には大船渡の被災地に滞在し、農村と都市地域における経験の参与観察を行うとともに、被災2周年めの地元感情を調査した(これについては峯も同行した)。 ゴメズは二つの国際会議に出席し、それぞれ、理論的な報告と実証的な報告を行った。会議はインドネシアとトルコという自然災害の被害を受けやすい国で開催されたので、その機会を利用して災害救援にかかわる政府関係者とNGO関係者に、緊急時の外国人の救援にかかわるインタビューを実施した。 昨年度、ゴメズは2本の論文を刊行し、さらに3本が査読中である(そのうち1本は峯との共著論文である)。それに加えて、昨年8月から本年2月まで、峯とゴメズはUNDPの要請を受けて、各国版および地域版の人間開発報告書のうち、人間の安全保障にかかわるものの内容を包括的にレビューする仕事を行った。学術的な性格のものだが、今後のUNDPの人間開発報告書の執筆に影響を与えるガイドラインとして、たいへん有意義な報告書を提出することができた。 その他にも、ゴメズは自然災害の教訓を一般に還元し、その研究を進展させる活動に従事した。仙台市で昨年8月に開催されたUNICEFの国際青年フォーラム、昨年9月に愛知大学で開催された第2回人間の安全保障学会学術大会、そしてJSPS事業としての高校生への講演である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的はおおむね達成されてきている。ゴメズが執筆してきた論文は査読付きを中心に単行本を刊行できる分量に達しており、UNDPにわれわれが提出した報告書は、共著出版に代わるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
計画記載の通り、成果のとりまとめの時期に入っている。現在査読中の3つの論文の刊行に力を注ぐとともに、さらに追加して2本ないし3本の論文の刊行を実現させ、さらに口頭の学術発表にも取り組みたい。すべての研究成果を総合する学術書、また論文集の出版については、期間中に目処をつけるように一層努力していきたい。
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