2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01324
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川村 静児 東京大学, 宇宙線研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FRIEDRICH Daniel 東京大学, 宇宙線研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 重力波 / レーザー干渉計 / 量子雑音 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現在建設中の日本の重力波検出器KAGRAの目標感度を実現するため、不確定性原理で規定される標準量子限界を打ち破るための技術を実証することである。これを実現するため、本研究では、わずか20mgの超軽量鏡から構成されるフィネス10,000の光共振器を用いるという、世界に類をみない独創的な手法により、世界で初めて、ポンディロモーティブスクイーズド光のホモダイン検波による量子雑音低減法の有用性を実証する。本研究が成功すれば、KAGRAの目標感度を実現することが可能となり、重力波天文学を創成・発展させることができる。 本共同研究の現状は片腕の腕共振器の動作に成功し、輻射圧の反バネ効果によって引き起こされる鏡の角度不安定性を回避するための方法をほぼ確立し、そして吊り下げ鏡のアラインメントの安定性を増すための改良を行っているところである。以下、それぞれ項目について進捗状況の説明を行なう。 (1)腕共振器の動作 腕共振器は2重振り子として吊り下げられた20mgの超軽量鏡と、同じく2重振り子として吊り下げられた1インチ鏡からなる。1インチ鏡の方にはビーム軸方向の位置制御および角度制御用のコイル・マグネットからなるアクチュエーターが装備されている。20mg鏡の方は中段マスを磁石でエディーカレントダンピングすることによって振り子の共振モードを抑えている。この状態で光を入射し、1インチ鏡の位置を制御することにより共振状態を実現することに成功した。 (2)輻射圧の反バネ効果 これまでの我々の研究により、輻射圧の反バネ効果は、20mg鏡の角度不安定性を引き起こすことが分かっている。これに対し、我々は、1インチ鏡の姿勢制御を行うことによりこの不安定性を回避する方法を検討してきた。現在、複雑な制御トポロジーを持つこのシステムについて適切なモデルを構築しそれを使いこの方法に関する有用性を検討しているところである。 (3)吊り下げ鏡の安定性 鏡は吊り下げらており、地震などの振動により大きく揺らされるが、原理的には揺れがおさまれば、平衡状態に落ち着き、元の姿勢が再現されるはずである。しかし、我々の吊り下げ鏡は、大きな揺れにより平衡状態が変化したり、また時間がたつとアラインメントが変化したりして、干渉計の安定な動作を妨げていることが判明した。そこで、1インチ鏡の吊り下げシステムの安定性についてテストをおこなった。結果は、トルクを加えて誘起した鏡の傾きと、その後その力をゼロにした時の平衡状態との間にヒステリシスが存在することを示すものであり、現在、その原因を調査中である。 なお、平成24年5月にハワイで行われた国際会議Gravitational Waves Advanced Detector Workshop(GWADW)において本研究成果について発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は当初は国立天文台において行われていた。しかし、受け入れ研究者である川村の国立天文台から東京大学宇宙線研究所への異動に伴い実験装置を平成24年3月に移動した。この前後は、移動の準備および新しい実験室におけるセットアップに数か月間が費やされた。また、新しい実験室は、以前の実験室に比べ振動環境が劣り、干渉計を安定に動作させることが困難であった。このため実験の進展は当初の予定よりやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、輻射圧雑音の観測のために必要なセットアップを以下のような手順でインストールし、それらの特性評価および調整を行い、輻射圧雑音雑音の観測に挑戦する。まずは、光共振器の角度不安定性を防ぐための制御システムを改良する。不安定性を避けるだけでなく、超軽量鏡の自然な角度揺らぎを抑えることも視野に入れて、本システムを最適化し、超軽量鏡の自然な角度揺らぎを抑える技術を実証する。次に、これまで使われてきた高反射率鏡を超高反射率鏡に取り換え、光共振器のフィネスを高める。また、固定の光共振器を用いて周波数安定化システムを構築し、これを動作させる。さらに他の雑音を、これまでの経験で培った様々なノイズハンティングの手法を駆使して低減し、最終的に輻射圧雑音で制限される感度を実現する。
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Research Products
(1 results)