2012 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄窒素三重結合化合物スルファンニトリルの誘導体の合成と反応性
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11F01336
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉村 敏章 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHEIKH Md.Chanmiya 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 外国人特別研究員
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Keywords | 硫黄窒素三重結合 / λ^6-スルファンニトリル / アルキル化剤 / フッ素化 / フルオロイミノスルフォニウム塩 / [2,3]シグマトロピー転位 |
Research Abstract |
当研究室で見出した硫黄窒素三重結合化合物フルオローλ^6-スルファンニトリル(I)を用いてアルコールを活性化し、超強酸でさえアルキル化できるほどの強力なアルキル化剤に変えることができた。この反応を用いてスルフォキシドの酸素のような通常アルキル化の困難な弱い求核剤のアルキル化剤に用いることができることを見出した。またIをエチル化することで得られた新規化合物N-エチルフルオロイミノスルフォニウム塩(II)は、フッ素化剤や環化剤等、さまざまな応用が期待できる。そこでIIと様々なアルコールと反応させ、フッ素化するとともに光学活性アルコールを用いて立体化学を検討した結果L-メントールでは7割が立体保持、L-乳酸エチルではほぼ完全に立体反転で反応が進んでいることが分かった。この情報は合成に応用するときに必要な情報である。またIIと酒石酸ジエチルを用いたエポキシ化反応も立体反転で進むことが分かった。さらにIIとフェノールから得られたフェノキシイミノスルフォニウム塩は[2,3]シグマトロピー転位を経て、アミノスルフォニウム塩としてもキノンイミン前駆体としても大変珍しい化合物が得られ、その構造は単結晶X-線構造解析で明らかになった。そこでこの転位反応を他のいろいろなエノール誘導体やエナミン誘導体へ適用し、有機合成反応への応用を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
N-エチルフルオロイミノスルフォニウム塩を用いたフッ素化反応や環化反応の立体化学を決定することに成功した。フェノキシイミノスルフォニウム塩の[2,3]シグマトロピー転位は、多くのエノール類にも適用できることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
[2,3]シグマトロピー転位生成物からさらなる誘導体への変換を検討し、この転移反応を利用した有機合成化学へ展開する。光学活性のフルオロ-λ^6-スルファンニトリルを用いて不斉アルキル化反応、不斉フッ素化反応、さらに[2,3]シグマトロピー転位を行い不斉合成を行いたい。
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