2011 Fiscal Year Annual Research Report
二官能性分子触媒とアンモニア水を用いる有機化合物の官能基選択的アミノ化
Project/Area Number |
11F01341
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 進 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TSAREV VasilyN. 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 窒素官能基 / アンモニア水 / 触媒活性 |
Research Abstract |
含窒素有機化合物は医薬品や天然物,生体高分子,機能性材料およびこれらの原料として社会的にも学術的にも重要な位置を占める化合物である.アミノ基やその等価体の反応性が比較的高いために,複雑な含窒素化合物の精密合成では多段階合成の終盤で窒素官能基を導入することが望ましい.アンモニア(NH_3)はハーバーボッシュ法により比較的安価かつ大量に生産されており,含窒素有機化合物を合成する際の窒素源として最も理想的な試薬である.アンモニア水は気体のアンモニアと比べてさらに扱いが容易である.しかしアンモニア水を用いて付加価値の高い複雑な含窒素化合物を合成できる手法は比較的限られている.これは狙った位置の望みの官能基にアンモニアを結合させる手法が十分に発達していないことに起因する.本研究の目的は,二官能性分子触媒を設計することによりアンモニア水を用いた官能基選択的な有機物のアミノ化反応を開発することにある.当該年度はいくつかの新規なハーフサンドイッチ型二官能性モリブデン錯体を合成し,その構造と水およびアンモニアに対する反応性を明らかにした.次にこれらの錯体について単純アルコール類の官能基選択的なアミノ化反応に対する触媒活性を調査した.その結果,錯体自体はアンモニア水溶液中で高い安定性を示すものの,現在のところいずれも従来の触媒系を上回る高い触媒活性を示すには至らなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
錯体の設計と合成,ライブラリーの作成に関しては設定した目標を達成したものの,アンモニア水を用いたアミノ化反応では従来法を凌ぐ水準まで達する系を見出せていないため.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後もアンモニア水を用いたアルコール類からの含窒素化合物合成法の開発を目標に更なる条件検討を行う.現在合成した錯体ライブラリーで目標を達成できなかった場合は,設計のコンセプトは保持したまま,他の元素を基軸とした錯体も含めた検討を行いたい.
|
Research Products
(1 results)