2012 Fiscal Year Annual Research Report
二官能性分子触媒とアンモニア水を用いる有機化合物の官能基選択的アミノ化
Project/Area Number |
11F01341
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 進 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TSAREV VasilyN 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | N-アルキル化 / 光触媒 / アルコール / 高級アミン / アンモニア |
Research Abstract |
含窒素有機化合物は医薬品や天然物,生体高分子,機能性材料およびこれらの原料として社会的にも学術的にも重要な位置を占める化合物である.アミノ基やその等価体の反応性が比較的高いために,複雑な含窒素化合物の精密合成では多段階合成の終盤で窒素官能基を導入することが望ましい.アンモニア(NH_3)はハーバーボッシュ法により比較的安価かつ大量に生産されており,含窒素有機化合物を合成する際の窒素源として最も理想的な試薬である.アンモニア水は気体のアンモニアと比べてさらに扱いが容易である.しかしアンモニア水を用いて付加価値の高い複雑な含窒素化合物を合成できる手法は比較的限られている.これは狙った位置の望みの官能基にアンモニアを結合させる手法が十分に発達していないことに起因する.本研究の目的は,二官能性分子触媒を設計することによりアンモニア水を用いた官能基選択的な有機物のアミノ化反応を開発することにある.当該年度は当初のアプローチを見直し,アンモニア水の代わりにアミン化合物を用いて,いくつかの直截的アミノ化法の開発を試みた.その結果,イリジウム錯体触媒を用いた炭化水素化合物のC-Hアミノ化反応と,光触媒を用いたアルコールの直接的なアミノ化反応を見出した.両者はアンモニア水を利用したものではないが,含窒素化合物の新しい合成法として萌芽的な結果であるといえ,今後アンモニア水利用への展開を考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とは異なったアプローチに移行したものの,有機化合物のredox選択的かつ官能基選択的な脱水的アミノ化は研究期間中に達成が見込まれており.まずは特許出願を目指している.学術的に興味深い点は,二官能性機構の一部を固体表面に担わせていることがあげられる.その詳細な基質適用範囲や,光触媒の反応前後のモルフォルジーを調査した後,学術論文を投稿する予定である.また今後アンモニアへの展開を検討する.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に,イリジウム錯体触媒を用いたアルカンのC-H直接アミノ化反応と,光触媒を用いたアミンの直接的なN-アルキル化反応を見出した.前者はアンモニア水の利用がより困難であると思われ,現在は後者のアプローチを中心としている。分子触媒ではほぼ不可能とされてきたredox選択的、および官能基選択的アミンの直裁的N-アルキル化反応の実現に向けて検討している.最適条件が定まった後に,アンモニアの直裁的官能基化へと展開し直す.
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