2011 Fiscal Year Annual Research Report
統合モデルによるインドネシア海域におけるCO2動態解析と予測
Project/Area Number |
11F01370
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
灘岡 和夫 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KARTADIKARIA AdityaRakhmat 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 二酸化炭素 / インドネシア海域 / 船舶調査 / 炭酸系動態 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
生物多様性が特に高いホットスポットとして注目されるインドネシア海域は、CO_2吸収/放出フラックスに関してはデータ空白地帯となっており、定量的評価が遅れている。そこで本研究では当海域で外洋域と沿岸域を共に評価できる形でのモデル群の開発と観測データの取得を試み、インドネシア海域のCO_2吸収/放出フラックスの季節変化・年々変化を明らかにし、かつその将来予測を行うことを目的としている。 当該年度には研究分担者のKartadikariaが中心になって、他研究機関のシステム上で既に開発済みの海水流動モデル、低次生態系モデルを東工大スパコンシステムTSUBAME2.0に移植するための作業を開始した。また領域気象モデルや炭酸系動態モデルを上記モデル群に組み込むために、モデルの枠組みを検討している。 2011年10月~2012年3月までの間インドネシアに2回出張し、インドネシア海域での共同調査研究を実施する為に必要不可欠となる、相手方研究機関(KKP:Ministry of marine affairs and fisheriesおよびBPPT: Agency for the assessment and application technology)とのMoU (Memorandum of Understanding)締結のための打合せを行い、合意の見通しを立てた。また国際的NPOの一つであるConservation International (CI)との協同で、インドネシアのBanda Sea海域において調査航海を行う可能性も議論した。さらに、今まで全く知見の得られていない沿岸海域での炭酸系動態の観測について、Sumbawa島にあるNewmont社を訪問し沿岸域を視察するとともに、同社が実施してきている環境モニタリングの内容や調査・分析施設を前提に、共同研究を具体的に実施する見通しを立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた航海が中止になったこと、また相手側研究機関との共同研究覚書(MoU)締結のために当初予想以上の労力を要したためにモデル開発に遅れが生じたために、研究の進展がやや遅れている。ただし当研究を開始する以前に得られた海洋データの解析から、2~4月と限られた時期ではあるがインドネシア海域の二酸化炭素動態に関して興味深い知見を得ることができた。本知見に関しては、論文を投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後インドネシア外洋域での海水中の炭酸系データを取得するために、BPPT、CIとの船舶調査を確実に実施できるように相手方との調整を行う。特に9.に記載したとおり、インドネシア側機関の財政状況のために2012年に予定していた外洋域での船舶航海が中止されたため、確実に参加でき、かつ、重要性の高い海域での船舶調査への参加を検討中である。またインドネシアの沿岸海域での調査に関して、Sumbawa島での観測を平成24年度の早い時期に開始するため観測計画を策定中である。モデル開発に関しては、覚書(MoU)締結作業が難航したために遅れが生じているため、今年度の前半でなるべくTsubame上での動作を可能にし、炭酸系動態モデル等のモジュールの構築も進める予定である。
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