2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞チップを用いた抗原特異的T細胞の迅速・高効率な検出・作製法の開発
Project/Area Number |
11F01415
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
村口 篤 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIN Aishun 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 外国人特別研究員
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Keywords | がんの免疫療法 / がん抗原特異的T細胞 / T細胞受容体 / マイクロアレイチップ |
Research Abstract |
平成24年度は、MHC/ペプチドテトラマーを用いずに、細胞チップ上で抗原特異的CD8^+T細胞を検出する方法の開発を行った。CD8^+T細胞は、MHCクラスI分子に抗原ペプチドが結合したものをT細胞表面のT細胞受容体を用いて認識し、活性化される。 細胞間の相互作用に関わる、細胞膜上の受容体と細胞膜上のリガンドは、本来、別個の細胞表面に受容体とリガンドが発現しており、細胞間の相互作用により、細胞膜上のリガンドと細胞膜上の受容体が相互作用し、受容体よりシグナルが伝達され、細胞が活性化される。近年、このような細胞膜上の受容体とリガンドが1個の細胞上に同時に発現し、1個の細胞上で相互作用する可能性が示されている。CD8^+T細胞の細胞表面には、T細胞受容体が発現しているが、同時にMHCクラスI分子も発現している。これまでに、1個のT細胞の膜表面でT細胞受容体とMHCクラスI分子が相互作用をするという報告はない。そこで、1個のT細胞上で、T細胞受容体と抗原ペプチドが結合したMHCクラスI分子が結合しT細胞を活性化するかを細胞チップを用いて検討した。 すなわち、細胞チップにT細胞を播種し、1個1個の生きた細胞をマイクロウェルに格納することで、細胞間の相互作用が起こらない状況を作出した。このような状態で、抗原ペプチドをチップ上の細胞に添加し、数時間の培養後、T細胞が活性化され、サイトカインの分泌が誘導されるかを検討した。その結果、ペプチド刺激に特異的にサイトカインの産生を誘導できることが示された。これらの結果は、1個のT細胞膜表面において、T細胞受容体と抗原ペプチドが結合したMHCクラスI分子が相互作用できる可能性を示している。現在、実験の再現性、およびT細胞活性化のメカニズムについて、さらに詳細な解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞チップ上で、抗原特異的T細胞を検出する方法として、世界で初めて、1個のT細胞上でT細胞受容体と抗原ペプチドMHC複合体が相互作用することで、T細胞が活性化される可能性を示した。今後、そのメカニズムを明らかにすることができれば、画期的な抗原特異的T細胞の検出法に発展する可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
実際、同一T細胞上で、T細胞受容体と抗原ペプチドMHC複合体が相互作用をするかを物理学的に示す必要があり、Fluorescence Resonance Energy Transfer(FRET)法あるいはBioluminescenceRsonallceEnergyTransfer(BRET)法を用いて、物理学的な相互作用が起こることを示していく。
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