2011 Fiscal Year Annual Research Report
全ゲノム連関マッピングによるイネもみ枯細菌病抵抗性遺伝子の単離
Project/Area Number |
11F01518
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Research Institution | Iwate Biotechnology Research Center |
Principal Investigator |
齋藤 宏昌 (財)岩手生物工学研究センター, 生命科学研究部, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHARMA Shiveta (財)岩手生物工学研究センター, 生命科学研究部, 外国人特別研究員
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Keywords | RIL系統群 / 遺伝的多様性 / イネコアセレクション / ひとめぼれ / SNPマーカー / 連鎖解析 / QTL / 表現型分離試験 |
Research Abstract |
イネもみ枯細菌病抵抗性遺伝子の単離 このプロジェクトの目的は大規模組み換え近交系(RIL系統群)を供試して、イネもみ枯細菌病抵抗性に関与する遺伝子を同定することである。RIL系統群の作製には、種子親として遺伝的多様性を示すイネコアセレクション17品種、花粉親としてイネ品種「ひとめぼれ」をそれぞれ用いた。まず、各親品種の茎にイネもみ枯細菌病菌を接種し、病徴を観察した結果、イネもみ枯細菌病感染に対して抵抗性、感受性または超感受性を示す品種が選抜された。「ひとめぼれ」(抵抗性)と対象的な表現型を示す「カサラス」(超感受性)のRILs158系統について、イネもみ枯細菌病菌の接種試験を行い、表現型の分離を観察した。さらに、ゲノム上の1,100個以上のSNPマーカーを用いて連鎖解析を行い、イネもみ枯細菌病抵抗性と連関するQTL(量的形質遺伝子座)を第4番および第11番染色体の特定領域に同定した。他の品種間のRILsを用いた表現型分離試験については、現在実施中である。 イネ乾燥ストレス耐性遺伝子の単離 上記と同様に、まず乾燥ストレスに対する各親品種の耐性の程度を識別した。乾燥ストレス耐性試験は、Fukao et al.(Plant Cell 23 : 412-427, 2012)の方法に従って実施した。その結果、「ひとめぼれ」(耐性レベル強)に対して対象的な表現型(耐性レベル弱)を示す品種が特定された。現在それらのRILsについて乾燥ストレス耐性試験を行なっており、今後、連鎖解析によって乾燥ストレス耐性に関与するQTLの同定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イネもみ枯細菌病感染に対して抵抗性を示すイネ品種「ひとめぼれ」と超感受性を示す品種「カサラス」との間のRILsを供試し、イネもみ枯細菌病抵抗性と連関するQTLが同定された。この結果により、イネもみ枯細菌病抵抗性遺伝子の単離に近づいている。
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Strategy for Future Research Activity |
他のRIL系統群を用いた表現型分離試験を2012年10月までに完了する。選抜した10種のRIL系統群についての表現型データと各RIL系統が示すDNA多型の結果を用いて連関解析を行う。加えて、高度に対象的な表現型を示すRIL系統については、イネもみ枯細菌病抵抗性や乾燥ストレス耐性を支配する遺伝子のマップベースクローニングに供試する。
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