2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01748
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 毅 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DIPROIETTO Valentina 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 代数多様体 / 基本群 / クリスタル |
Research Abstract |
正標数の特異点のある代数多様体を,コホモロジーと基本群を使って研究した.1つは準安定多様体上の可積分接続つき加群と対数過収束アイソ・クリスタルの関係についてであり,もう1つは対数クリスタル基本群のモノドロミー作用素である.まず,準安定多様体上の微分方程式の代数化関手の研究について述べる.これは,以前の成果の自然な延長である. 以前の結果では,離散付値環上の多様体の閉ファイバーである正標数の開多様体上のある種の対数過収束アイソ・クリスタルの圏から,その生成ファイバー上の代数的接続つき加群の圏への充満忠実な代数化関手を構成した. 本研究では,適当な仮定のもとで対数過収束アイソ・クリスタルの圏の淡中部分圏と代数的接続つき加群の圏の淡中部分圏をそれぞれ構成し,代数化関手がそれらの圏の同値を与えることを証明した. 対数クリスタル基本群のモノドロミー作用素については,次のように研究を進めている. Deligneは1989年の重要な論文で,モティヴィック巾単基本群の実現の淡中圏による記述を与えた.とくに標数0にもちあげられる正標数の多様体の基本群のクリスタル実現を研究した.正標数の一般の多様体に対するクリスタル基本群は,対数幾何の枠組みを使って志甫によって構成された.対数クリスタル基本群へのモノドロミーの作用の定義が現在の目標である。そのために、対数的アイソ・クリスタルや対数的収束アイソ・クリスタルのなす淡中圏の基本群として定義される基本群の対数的クリスタル基本群や対数的収束基本群について、代数多様体の退化族にともなう古典的なホモトピー完全列の類似の構成をめざして研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前に構成した充満忠実な代数化関手が、適当な仮定のもとで淡中部分圏の間の圏の同値を与えることを証明できた.また、モノドロミー作用素の構成については、基本群の完全列の構成という形で問題を明確にすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の研究では,巾単基本群ではなく基本群全体を調べているものが多いが,対数的ドラム基本群については,可積分接続全体は淡中圏をなさないため,この場合にはその基本群が定義されない.そこで,巾単可積分接続全体は含む部分圏で淡中圏であるものとして,巾単な留数をもつ接続のなす圏を考える.これについての上の系列の類似での単射性の証明が現段階での研究の目標である.
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