2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 至崇 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FARRELL Daniel 東京大学, 先端科学技術研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ホットキャリア / ナノ構造太陽電池 / 高速キャリアダイナミクス / 高速光応答 / 量子井戸・ドット |
Research Abstract |
量子ドット超格子や高歪み化合物半導体中に形成される中間バンドを利用したナノ構造太陽電池の高効率化のアプローチでは、中間バンド内のエネルギーレベルに光キャリアが安定に存在し、またこれらが近赤外域の太陽光を吸収して伝導帯へと効率良く励起され、電流として取り出せることを室温で実証することが重要である。このような光吸収によるアップコンバージョン過程と同様に、熱的アップコンバージョン効果を取り入れたのがホットキャリア太陽電池である。本年度は、太陽光により励起されたされた中でも高エネルギーのキャリアのエネルギー緩和ダイナミクスを解明し、これらの高エネルギーの電子を効率良く電極から取り出すための方法に関する研究を進めた。 量子井戸から成るホットキャリア生成層を想定し、熱的アップコンバージョンにより生成されたホットキャリアが、発光再結合する際に放出されるフォトンを太陽電池(上部)に照射して戻すことにより、セルの出力電流を増大させることが本研究で考案した素子の動作原理となる。このとき、太陽光の集光により熱的アップコンバージョンによるホットキャリアの生成がより高効率で生じることが期待され、理論値として、1000倍集光時に5O%前後の変換効率が可能となることを見出した。 次に、量子井戸セル構造の最適化を行うため、k. p法を用いたバンド計算の数値計算プログラムを開発した。InGaAs/GaAs系歪み量子井戸を想定し、量子準位の形成位置及び各エネルギー準位における波動関数を数値計算により求められるようになり、格子歪みが量子準位や波動関数に及ぼす効果を定量的に求めることを可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子ナノ構造太陽電池の高効率化に向けては、量子ナノ構造中における光吸収の過程、そして励起されたキャリアが電流として取り出されるまでのキャリアダイナミクスの両メカニズムを解明し、またこれらを制御し最適化する方法を開発することが重要である。この点において、本研究はk-p法によるバンド計算と熱的アップコンバータを用いたホットキャリア太陽電池の構造最適化及び、実験データの解析を目指すものであり、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
熱的アップコンバージョン過程を取り入れたホットキャリア太陽電池の研究において、理論値として、約1000倍の集光時に50%前後の変換効率が得られることが分かった。このようなホットキャリア太陽電池の動作を実証するための量子井戸・量子ドット材料の最適設計、またGaNAsなどの多バンド材料中における励起キャリアのエネルギー緩和ダイナミクスを高速分光法により詳細に解析し、高エネルギーのキャリアを効率良く電極から取り出すための方法に関する研究へと展開を狙う。
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Research Products
(4 results)