2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01784
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田窪 行則 京都大学, 文学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KUPCHIK JOHN 京都大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 東国方言 / 上代語 / 辞典 |
Research Abstract |
本研究の目的は、英語による日本語上代語東国方言の語源辞典を作成することである。この辞典は、これまで作成した東国方言データベースの情報をもとに、非常に詳細な言語情報を含むため、上代日本語を日本語を研究する者にとって利用価値が高いものになる。 本語源辞書の特徴は多い。まずは、語源特定のために琉球語の情報を用いることである。当該年度において沖縄語を中心にしても他の琉球方言も調査した。琉球語と上代語東国方言しかない言語はいくつかあるから、とても重要な研究だと思われる。例えば「わたし」と言う言葉は上代語東国方言で「わぬ」や「わの」と言って沖縄語での「わん、わんねー」と似ている。上代語奈良方言のよくある「われ」との区別が見やすい。 アイヌ語も上代語東国方言と関係がある言語だけど、今までの辞典にはそんな情報がない。その点を照らすのが研究の一つの目的である。当該年度において出来る限りアイヌ語から来た上代語東国方言を辞典に記入した。例えば上代語東国方言の「時」と言う言葉は「しだ」である。アイヌ語の「hi-ta」(日本語に訳せば「時-に」である)から来た言葉に違いない。 当該年度において辞書データベースの作成を仕掛けた。この作業を順調に果たすために新パーソナルコンピューターおよび外付けハードディスクなどの外部記憶装置を購入した。また、さまざまな文献を購入して収集した。 英語での上代日本語辞典は今まで存在せず、特に東国方言を中心にし、かつ、琉球諸語の情報をいれた語源辞書は存在しない。本研究が世界で初めての試みでる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英語による上代語東国方言の語源辞典に約200語を収録した。辞典の完成度に関して、25%くらいだと推定される。排列は原則としてローマ字での一覧表である。各項目にローマ字表記、品詞、訳語、解説、例文、語源などを記載した。文法についても解説した。計画通りの達成度である。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの語を収録する予定である。琉球語の方言と八丈島の方言をもっと詳しく調査する。英語から上代東方言への逆引き索引も作る。
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