2011 Fiscal Year Annual Research Report
非貴金属材料を用いた燃料電池用カソード触媒の開発と高性能化に関する研究
Project/Area Number |
11J00284
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 良治 東京大学, 大学院・工学系研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 燃料電池 / 酸素還元反応 / 非白金触媒 / 金属窒化物 / ナノ粒子 / 電気化学 / 触媒化学 |
Research Abstract |
本研究は次世代のエネルギー変換技術として期待される固体高分子形燃料電池(PEFC)のカソードで起こる、酸素還元反応(ORR)に用いられる触媒に関する研究を行った。現在カソード触媒として用いられている白金触媒に替わる、安価で安定な新規材料開発としてTi、Nb、TaといったIV、V族の酸化物や窒化物を用いた触媒の開発を目指した。これまでに報告されているこれら化合物系触媒の欠点である、導電性の低さや表面積の低さを、ナノ粒子化によって解決することを試みた。 本年度の研究実施計画に従い、窒化物ナノ粒子調製法として知られるC_3N_4をテンプレートとして用いる方法によってTi、Nb、Ta窒化物のナノ粒子を調製した。これらナノ粒子をカーボン担体に担持し、電気化学測定によって触媒活性を評価したところ、いずれの窒化物も白金代替ORR触媒として優れた活性を示した。その中でもTiNが最も高い活性を示した。これら元素のナノ粒子材料のORR触媒への応用は前例がなく、応用例として意義深い。この他、テンプレートの細孔のサイズを変化させ、幾つかの種類をもつナノ粒子窒化物を調製し、粒径の変化等が触媒活性にどのように影響するのかを評価した。IV、V族材料のナノ粒子の粒径、表面積がORR触媒活性に及ぼす影響は報告例がない。これらの研究結果と関連する内容を、学術論文として報告されたほか、本研究の内容を国内外合わせて7つの学会で発表した。 また、来年度行う予定の研究へのスクリーニングとして、ORR触媒の活性点に関する測定法の検討を行った。その一つである酸素を吸着脱離させる装置の立ち上げを行った。予備実験として行った実験ではORR触媒活性と酸素の脱離エネルギーが相関があることが示唆されている。今後はこの測定法を足がかりに、ORRの活性点の解明に向けて研究を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子調製法として報告されているC_3N_4を用いてTi,Nb,Zr,TaといったIV、V族材料の窒化物ナノ粒子の調製に成功した。また酸素還元反応の触媒活性を評価し、活性を有することを見出した。国内、国際いずれも多くの学会に参加し、成果を報告したことから研究は概ね順調に進展した。
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