2011 Fiscal Year Annual Research Report
高階微分重力理論におけるブラックホール解の系統的研究
Project/Area Number |
11J00661
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 智洋 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Lovelock理論 / ブラックホール解 / 安定性 / 電荷 / AdS/CFT対応 / planar horizon |
Research Abstract |
昨年度から今年度にかけて、Lovelock理論におけるブラックホール解の性質に関する研究を行った。具体的には、Lovelockブラックホール解の安定性に関する研究である。これまでの研究から、この解はtensor perturbationに対して偶数次元では不安定であることが分かっているので、scalar perturbationとvector perturbationについて調べた。結果、vector perturbationに関しては安定であり、scalar perturbationについては奇数次元で不安定化することが分かった。これまでの結果と合わせ、このLovelockブラックホール解は全ての次元で不安定であることが分かった。 さらに、これらの研究で培った技法を基として、電荷を持った場合やhorizonのtopologyが平坦な場合についても調べた。前者は、加速器実験でできるブラックホールは電荷を持っていると推測されるため重要であり、後者は、Lovelock理論を基としたAdS/CFT対応の適応限界という意味で重要である。前者、つまり電荷がある場合については、tensor perturbationのみ調べたが、結果、少しでも電荷があると次元に関わらず不安定になることが分かった。後者、つまりplanar horizonの場合については、具体的にAdS/CFT対応の適応できるパラメータ領域を明確にでき、今後行うAdS/CFT対応を通した物性系への応用に関する研究の基礎を調べることができた。 今後は、上記した物性系への応用やいわゆるquasi-Lovelock理論におけるブラックホール解について、安定性や熱力学などといった性質を調べていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Lovelockブラックホール解の安定性について完全な知見を得ることができ、電荷を加えたものに関しても調べる事ができた。また、planarブラックホールの安定性を調べ、次の物性系への応用に関する土台を作る事が出来た。以上の様に、当初予定していたことを研究することができたため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
電荷を加えたLovelockブラックホール解の安定性はtensor perturbationのみを調べた。その他のperturbationについては、式がうまく分離しないなどの問題があるため、まずこれを解決するつもりである。 さらに、これまでの研究でできた土台を基に、AdS/CFT対応を用いて、強結合からはずれた物性系の解析を試みるつもりである。
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