2012 Fiscal Year Annual Research Report
高階微分重力理論におけるブラックホール解の系統的研究
Project/Area Number |
11J00661
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 智洋 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Lovelock theory / black hole perturbation / charged solutions |
Research Abstract |
これまでの研究で、高次元の重力理論で最も一般的であるLovelock理論において、静的かつ電荷を持たないブラックホール解の安定性解析を行い、不安定になる条件を導く手法を確立した。今年度は、前年度に引き続き、その手法を電荷を持つような場合への拡張を行った。 上記の通り、前年度に引き続きcharged Lovelock black holeの安定性解析を行った。前年度では、特にtensor type perturbationに関して調べたが、本年度は残りの型である、vector type perturbationとscalar type perturbationについて調べた。結果、vector typeに関しては安定であることが分かった。scalar typeに関しては、電荷が充分小さい場合にはextreme massに不安定性を持つことを示すことができた。 高階微分を含む重力理論において、既知で正則なブラックホール解は、Lovelock理論における、Lovelock black holeとcharged Lovelock black holeぐらいである。二年間の研究によって、これらの安定性について完全に議論し、結果、両方とも小さいブラックホールは不安定で充分大きければ安定かするということが分かった。つまり、この研究により、既存の高階微分入りブラックホール解の線形安定性が完全に明らかになったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、高階微分重力理論におけるブラックホールの性質、特に安定性を明らかにすることを目的としていた。 本年度までで、既知である正則なブラックホール解の安定性を完全に議論することができたので、順調に進展したと言えると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展望としては、正則なブラックホール解の探求が挙げられると思う。今回の研究で線形摂動に関する方程式を作ることができた。これを用いれば、少なくとも線形レベルの 新しい解を構成できると考えられる。例えば、回転ブラックホール解の探求は非常に興味深い。
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